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「昔は本当に彼氏が途切れなかったよな」披露宴で5分続いた友人代表のスピーチ、会場が静まり返った理由

  • 2026.9.15

笑っていたのは、話している本人と数人だけだった

大学時代の友人の披露宴に呼ばれた。秋のはじめで、会場の大きな窓の外にはまだ明るさが残っていた。

私は円卓の席順を確かめながら、久しぶりに会う顔をいくつか見つけていた。新婦は学生のころから人付き合いが広く、披露宴にも懐かしい顔が何人も来ていた。

披露宴の途中、友人代表の男性が壇上に上がった。

最初は学生時代の思い出話だった。

「いやあ、あのころは本当に毎日騒がしかったよな。今考えると、よくあんなことしてたなって思うよ」

会場のあちこちから笑い声が上がり、新婦も楽しそうに笑っていた。

けれど、話が恋愛のことに移ったあたりから、少しずつ空気が変わった。

「昔は本当に彼氏が途切れなかったよな」

新婦の笑顔が、一瞬止まったように見えた。

男性は気づいていないのか、そのまま続ける。

「ほんとにさ。『え、また変わったの?』って聞いたこともあったよな」

男性本人と、友人席の数人が笑った。

でも、それ以外の席は静かだった。

親族席を見ると、年配の男性が眉を寄せ、手元のグラスに目を落としていた。新郎も視線を下げたままだった。

新婦はまだ笑顔を作っていたが、さっきまでの表情とは明らかに違って見えた。

隣に座っていた大学時代の同期が、料理に手をつけないまま、私に小さく顔を寄せた。

「……これ、まだ続くのかな」

私も声を落とした。

「ちょっと長いね」

同期が新婦のほうを見た。

「大丈夫かな」

「うん……気になるね」

壇上に上がってから、もう5分ほどたっていた。

さっきまで聞こえていたフォークや皿の音も、いつの間にかほとんどしなくなっていた。

「そろそろお時間です」と、静かに3度

会場の端に立っていた司会の女性が、進行表を手に壇上へ近づいた。

男性の話を急に遮ることはせず、少し手前で立ち止まる。

「申し訳ありません。そろそろお時間です」

男性はちらりと司会を見た。

「あ、はい。もう終わります。あとひとつだけ」

そう言って、また話を続ける。

司会はその場を離れなかった。

少し待ってから、もう一度声をかけた。

「恐れ入ります。そろそろお時間です」

男性は困ったように笑った。

「あとちょっとです。これだけ言わせてください」

それでも話を続けようとしたところで、司会が三度目の声をかけた。

「ありがとうございます。お時間となりましたので、こちらでお願いいたします」

声を荒らげたわけではない。

それでも今度は、男性も話を止めた。

「ああ……すみません。長くなっちゃいましたね」

少し照れたように笑い、持っていたマイクを下げた。

司会がすぐに続ける。

「ありがとうございました。どうぞお席へお戻りください」

男性は会場へ軽く頭を下げ、そのまま壇上を降りていった。

誰かが怒鳴ることも、責める声を上げることもなかった。

司会は進行表へ目を落とし、いつもの調子で次へ進めた。

「それでは続きまして、ケーキ入刀へと進んでまいります」

照明が少し落ち、音楽が流れ始めた。

止まっていた拍手が戻ってくる。

そのとき、新婦がふっと肩の力を抜くのが見えた。

帰り際、クロークの列で、隣に座っていた同期がぽつりと言った。

「さっきの司会の人、落ち着いてたね」

「うん。もっと気まずくなるかと思った」

同期はうなずいた。

「ちゃんと止めてくれてよかったね」

私も「そうだね」と答えた。

大きな声で注意する人はいなかった。それでも、三度目のひと言で止まっていた披露宴の時間は、ようやく先へ進んだ。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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