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「今日はどこでお茶する?」授業参観の廊下で続いた保護者の会話。だが、注意した私に返ってきた言葉

  • 2026.9.15
「今日はどこでお茶する?」授業参観の廊下で続いた保護者の会話。だが、注意した私に返ってきた言葉

廊下のほうが、教室より賑やかだった

子どもの高校の授業参観に行った日のことだ。上履きに履き替えて階段を上がった時点で、上のほうから笑い声が聞こえていた。名簿に名前を書き、私は教室の後ろのドアの前に立った。

ガラス越しに見える教室では、先生が黒板に問題を書いていた。前から3列目に、うちの子の背中が見えた。

45分の授業が始まって間もなく、私のうしろで保護者二人の話し声が始まった。

「このあと、時間ある?」

「あるよ。下の子のお迎えまでまだ時間あるし」

「じゃあ、今日はどこでお茶する?」

「どうしよう。駅前あたり?」

最初は、少し話したら終わるのだろうと思っていた。けれど先生が説明を続けているあいだも、二人の会話は途切れなかった。

学校のことから子どもの習い事へ話が移り、しばらくすると、また同じ話題に戻った。

「ねえ、今日はどこでお茶する?駅前でいい?」

「あそこ、混んでそうじゃない?もう一つのところでもいいけど」

どうやら行き先は、まだ決まっていないらしい。

先生が生徒に問題を出した。教室が静かになり、何人かがノートに目を落とした、そのときだった。

うしろから、また声が聞こえた。

「じゃあ、今日はどこでお茶する?」

三度目だった。

先生が一度だけ廊下へ視線を向けた。けれど何も言わず、そのまま授業を続けた。

そのとき、教室の中でうちの子がまっすぐ手を挙げた。

指されて立ち上がり、少し緊張した様子で答えを読み上げる。けれど背後の話し声と重なって、ドアの外にいる私にはところどころしか聞き取れなかった。

迷った末に、声をかけた

私は一度、うしろを振り返った。

二人はまだ楽しそうに話している。たぶん、自分たちの声がどれほど響いているのか分かっていないのだと思った。

わざわざ言うほどのことだろうか、と少し迷った。

それでも教室では、子どもたちが授業を受けている。

私は二人のところまで数歩戻り、なるべく声を落として話しかけた。

「すみません。あの…もう少しだけ静かにしていただけませんか」

二人の会話がぴたりと止まった。

片方の人が、驚いたように私を見た。

「え…そんなに聞こえてました?」

「はい。けっこう響いていて…。さっき先生もこちらを見ていたので」

そう伝えると、もう一人が教室のドアへ目をやった。

「あ、ほんと……。全然気づかなかった」

少し気まずそうな顔になったので、私も強く言いすぎないように続けた。

「すみません。授業が終わってからにしてもらえると助かります」

「ああ、ごめんなさい。ほんとに気づいてなくて」

もう一人も、「すみません」と小さく頭を下げた。

二人は顔を見合わせ、それから教室のほうを向いた。それ以降、話し声は聞こえなくなった。

残りの授業では、先生の声や教科書をめくる音が、ドアの向こうから静かに聞こえてきた。

うちの子は、そのあとも二度、手を挙げていた。

チャイムが鳴り、教室の後ろのドアが開いた。

先ほどの人の一人が荷物を持ち直し、帰り際に私のそばで足を止めた。

「さっきはごめんなさいね。あんなに響いてるなんて思わなくて」

「いえ。私も、言おうかどうしようか迷ったんです」

「でも、言ってもらってよかった。このまま普通にしゃべってたと思う」

その人は少し照れたように笑い、「じゃあ」と会釈して階段のほうへ歩いていった。

ほどなくして、教室から出てきた子どもが私に気づいた。

「あ、来てたんだ」

「見てたよ。何回も手、挙げてたね」

「見えてた?」

そう言って少し恥ずかしそうに笑う顔を見ながら、思い切って声をかけてよかったのだと思った。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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