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「生活費のこと甘えてもいい?」大学四年生の恋人と同居。卒業後、家に届いたビールサーバーを見た私が下した決断

  • 2026.9.14
「生活費のこと甘えてもいい?」大学四年生の恋人と同居。卒業後、家に届いたビールサーバーを見た私が下した決断

明細に並ぶ名前は、1人ぶんだけだった

働き始めた春に、私は初めて自分の部屋を借りた。

恋人は大学四年生で、最初は週に二日ほど泊まりに来ていた。

夏を過ぎるころには、洗面所に彼の歯ブラシと着替えが並ぶようになっていた。

採用試験を控えていた彼から、ある晩、申し訳なさそうに言われた。

「今ちょっと余裕なくてさ。試験が終わるまで、生活費のこと甘えてもいい?」

「うん。ずっとじゃないなら大丈夫だよ」

そのときは、本当に一時的なことだと思っていた。

けれど、家賃も食費も光熱費も、変わらず私の口座から引かれていった。二人で暮らしているのに、支払いだけを見ると一人暮らしのままだった。

数か月たったころ、私は初めて切り出した。

「ねえ、今月から少しだけでも入れてもらえないかな。正直、二人ぶんはちょっときつくて」

彼は困ったように眉を寄せた。

「分かってるよ。ごめん。でも、まだ学生だから。もう少しだけ待って」

「……うん。分かった」

私はそれ以上言えなかった。

冬になっても、彼の卒業後の仕事は決まらなかった。単発の仕事に何度か行くことはあったが、毎月決まった収入があるわけではない。

それでも、友達と遊びに行く予定は先の月まで入っていた。

もう一度、支払いの話をした。

「全部じゃなくていいんだよ。食費だけでも入れてくれたら、かなり助かるんだけど」

「だから、まだ学生だから。毎月出してって言われても、今はきついよ」

「私も毎月きついんだけどな…」

そう言うと、彼は黙った。

卒業が近づいたころ、私は三度目の話をした。

「卒業したら、今度こそ一緒に払える?」

彼は少しため息をついた。

「まだ学生だから、今からそんなこと言われても分からないって。仕事が決まってからでいいだろ」

また同じ言葉だ、と思った。

春になり、彼は大学を卒業した。それでも決まった仕事には就かず、単発の仕事を続けていた。

職場の同期から「最近、彼とはどうなの?」と聞かれたのは、そのころだった。

「お金の話をするとね、『まだ学生だから』って。三回とも、それで終わった」

同期は少し間を置いた。

「でも、もう卒業したんだよね?」

「うん。今年の春に」

自分の口で答えた瞬間、急に疲れが出た。

写真が3枚届いた夜に、2度だけ伝えた

その春、玄関に大きな箱が届いた。

中に入っていたのは、ビールを注ぐための機械だった。私は一滴も飲めない。それでも家賃や食費、光熱費を負担している状況は変わっていなかった。

「これ、買ったの?」

「前から欲しかったんだよ。家で飲めたら便利だろ」

悪びれた様子のない返事を聞いて、胸の奥が重くなった。

少しして、彼は友達との旅行に出かけた。

帰ってくる日の夕方、私のスマートフォンに写真が三枚届いた。青い海と、宿の食卓と、楽しそうに並んだ集合写真だった。

私は台所のテーブルで、その月の明細を見ていた。

その夜、彼が帰ってきてから、私は明細をテーブルに置いたまま話を切り出した。

「ねえ。来月からは、半分ずつにしよう」

彼の表情が曇った。

「今は無理だって。そんな急に言われても困るよ」

「急じゃないよ。ずっと話してたじゃん」

「でも、ないものは出せないだろ」

その言葉を聞いて、私はしばらく黙った。

怒鳴りたいわけではなかった。ただ、もう「仕方ないね」と言って終わらせる気力がなかった。

「私も、もう無理なんだよ。一緒に暮らすなら……半分ずつにしよう」

二度目は、それだけ伝えた。

彼は何か言いかけたが、結局その夜に答えは出なかった。

翌週、私は一緒に暮らすのをやめたいと伝えた。

「お金だけの話じゃないんだ。何回話しても、ずっと私だけが何とかする形なのが、もうしんどい」

彼はしばらく黙っていた。

「……分かった」

大きな言い争いにはならなかった。荷物を運ぶ日を決め、最後に合鍵を返してもらった。

一人になった部屋で、私はこの一年の明細を並べた。家賃、食費、光熱費。それから、ビールの機械にかかっていた費用。

支払いを見返すと、ほとんどが私の口座から出ていた。

機械の解約について連絡を入れ、必要のなくなった支払いを一つずつ整理した。

翌月の明細を見ると、数字がずいぶん減っていた。

そのことを同期に話すと、電話の向こうで少し間があった。

「そっか。やっと、自分の分だけになったんだね」

「うん。こんなに違うんだって、びっくりした」

電話を切ったあと、洗面所へ行った。

コップの中には、歯ブラシが一本だけ立っていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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