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「最近の若い人は墓を見ない」法事の席で墓の話が止まらなくなった伯母。空気を変えた故人の姉の一言

  • 2026.9.14
「最近の若い人は墓を見ない」法事の席で墓の話が止まらなくなった伯母。空気を変えた故人の姉の一言

法要後の席で、伯母の話が止まらなくなった

数年前の秋、親戚の法事に出た。寺での法要が終わると、隣の会館の広間へ移り、親族20人ほどで食事の席を囲んだ。

故人は母の従兄にあたる人だ。生前は畑の脇に古い椅子を出して、通りかかった人を呼び止めては長く話し込むような人だった。その日も、膳のあちこちで昔の思い出話が出ていた。

上座には伯母が座っていた。私の席は入口寄りだったので、その横顔がよく見えた。

吸い物の椀が配られたころ、伯母がふいに口を開いた。

「でもねえ……最近の若い人は、本当にお墓を見なくなったでしょう」

近くにいた何人かが箸を止めた。

伯母は誰か一人を責めているというより、そこにいる親族みんなへ訴えるように話していた。草が伸びていたこと、花筒が空のままだったこと、彼岸にも人の気配がなかったこと。話しているうちに、だんだん声が大きくなっていった。

「昔は誰かしら気にしてたのよ。ちょっと見に行こうとか、草を取ろうとか。今は本当に誰も言わないんだから」

近くにいた親族の男性が、困ったように笑いながら声をかけた。

「その話も分かるけど、せっかくだから、まず食べようよ。料理も冷めちゃうし」

伯母は椀に手をつけず、首を横に振った。

「そういうことじゃないのよ。気づいた人がやればいい、じゃ駄目でしょう」

「うん、それはそうだけどさ……」

男性も、それ以上は言わなかった。

誰も真正面から反論せず、「そうねえ」「まあね」と短い相づちだけが返っていた。

子どもたちも、さっきまで食べていた煮物から顔を上げ、大人たちの様子を見ていた。

壁の時計を見ると、伯母が話し始めてから10分ほどたっていた。

伯母の隣にいた女性が、箸を置いた

そのとき、伯母の隣に座っていた80代の女性が静かに箸をそろえた。

故人の姉にあたる人だった。

「ねえ、今日は何のために、みんな集まったの?」

責めるような声ではなかった。

伯母は一瞬口を開いたが、そのまま黙った。

女性は少し間を置いて続けた。

「お墓のことを気にしてるのは、よく分かるよ。草なんて、本当にすぐ伸びるものね」

「……そうなのよ。放っておいたら、すぐ大変になるでしょう」

さっきまで張っていた伯母の声が、少しだけやわらいだ。

「うん。それは分かってる。でも、その話はまた今度、みんなでちゃんと話そうよ」

女性は周囲をゆっくり見回した。

「今日は、あの人の話をしよう。せっかくこうして集まったんだから」

伯母はしばらく何も言わなかった。

やがて膝の上のハンカチを握り直し、小さくうなずいた。

「……そうね。ごめんなさい。私ばっかり話しちゃったわね」

そして、ずっと置いたままだった椀を両手で持ち上げた。

少しずつ広間に箸の音が戻った。誰かが徳利を回し、子どもたちもまた煮物に手を伸ばし始めた。

しばらくして、先ほど伯母に声をかけた男性が言った。

「お墓のことは、またみんなで相談しよう。誰か一人に任せっぱなしにする話でもないし」

伯母は少し困ったように笑った。

「そうしてくれると助かるわ。私も、前みたいには動けないから」

「じゃあ、また連絡取り合おう」

「うん。お願いね」

その後は、故人の思い出話に戻った。

締めの挨拶では喪主が立ち、故人が最後まで畑の脇に椅子を出していた話をした。

「あの人、誰か通るとすぐ呼び止めてたよな」

そんな声がどこかから上がると、広間のあちこちから小さな笑い声が返った。

帰り支度をして玄関で靴を履いていると、伯母が故人の姉のそばへ寄っていくのが見えた。

二人は少しだけ言葉を交わし、女性は伯母の背中を軽く叩いてから先に外へ出ていった。

「さっきはどうなるかと思ったけど、あの人が言ってくれてよかったわね」

隣で靴を履いていた母が、小さな声で言った。

「うん。怒って止めるんじゃなくて、ちゃんと話を聞いてから言ったのがよかったのかもね」

会館の外では、迎えの車のライトが一台ずつ灯り始めていた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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