1. トップ
  2. エピソード
  3. 「うちの母親ならそんな言い方しない」旅行中ずっと荷物を預けてきた彼。翌月、別れを告げたワケ

「うちの母親ならそんな言い方しない」旅行中ずっと荷物を預けてきた彼。翌月、別れを告げたワケ

  • 2026.9.13

改札に現れた彼は、小さな鞄ひとつだった

婚活の場で知り合った彼と付き合って半年ほどたったころ、初めて一泊旅行へ出かけました。

待ち合わせの改札に現れた彼は、小さな鞄をひとつ提げているだけ。私は着替えやタオルを入れたトートを肩にかけていました。

「え、それだけ?着替えは?」

「一泊だし、これで十分。荷物って少ないほうが楽でしょ」

ところがホームの売店で、彼は雑誌を二冊と大きなペットボトルを買いました。そして会計を済ませると、その袋を私のトートへ入れようとしたのです。

「ちょっと待って。それは自分で持ってよ」

「え?そっちのほうが大きいし、入るじゃん」

「入るけど、もう重いんだよ」

彼は少し不満そうな顔をしました。

「そんな言い方しなくてもいいじゃん。うちの母親なら普通に持ってくれるけど」

驚きましたが、旅行の始まりから言い合いになるのも嫌で、その場では何も言えませんでした。

列車では、私が重いトートを何度も持ち替える横で、彼は雑誌を読んでいました。読み終えると、その雑誌まで何気なく私のトートへ戻します。

宿に着いてからも、買ったお菓子や飲みかけのボトルは自然と私の手元へ。

翌朝、さすがに我慢できずに言いました。

「ねえ、自分で買ったものくらい自分で持ってくれない?」

「そんなに嫌だった?」

「嫌というより、ずっと持ってたら普通に重いよ」

「でも旅行なんだし、それくらい助け合えばいいじゃん。うちの母親なら、そんなことで言わないけどな」

二度目でした。

三度目の「母親なら」で、気持ちが決まった

帰りの乗り換え駅では、2月の冷たい風がホームを吹き抜けていました。

彼はセーター一枚で寒そうにしていました。駅ビルで上着を買えば、と言っても「そこまでしなくていい」と首を振ります。

見ていられず、私は自分のコートを貸しました。

「助かる。これなら大丈夫」

けれど当然、今度は私が寒くなります。

「ごめん、やっぱり寒いから返してもらっていい?」

すると彼は驚いた顔をしました。

「え、もう?俺まだ寒いんだけど」

「私も寒いよ。私のコートなんだから」

彼はため息をつきました。

「なんか冷たいよね。うちの母親なら、そんなこと言わないと思う」

三度目でした。

私は彼からコートを返してもらって着直すと、トートを開きました。

「あと、これも持って」

雑誌二冊とペットボトル、菓子折りを彼へ渡しました。

「え、全部?」

「うん。全部あなたのものだから」

彼は荷物を抱え、眉をひそめました。

「これ、結構重いよ」

「そうだよ。昨日からずっと、それを私が持ってたの」

彼はそこで初めて黙りました。

翌月、私は別れを伝えました。

「旅行のこと、まだ怒ってるの?」

「怒ってるんじゃないよ。私が嫌だって言っても、ずっとお母さんと比べられるのが嫌だったの」

彼は「そんな大げさな話?」と言いました。

その言葉を聞いて、やはり別れてよかったと思いました。

後日、部屋に残っていた彼の私物を送り返しました。

それが驚くほど軽く感じられました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ