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「そのリュック、膝の上に置いてもらえませんか?」混雑した電車で席をふさいでいた男性。高齢女性を見た乗客の一言

  • 2026.9.13
「そのリュック、膝の上に置いてもらえませんか?」混雑した電車で席をふさいでいた男性。高齢女性を見た乗客の一言

目の前に人が立っても、動かない荷物

朝の通勤時間帯の電車は、扉の近くまで人で埋まっていました。

私は吊り革につかまり、揺れるたびに足の位置を直しながら立っていました。

ふと座席を見ると、中ほどに黒い大きなリュックが置かれています。

持ち主らしい男性はその隣に座り、携帯の画面を見たまま指を動かしていました。

男性とリュックで、座席が二つ埋まっている状態です。

次の駅で、高齢の女性が乗ってきました。ちょうどリュックの前まで来ると、手すりにつかまって立ち止まります。

電車が大きく揺れた瞬間、女性の体がふらっと傾きました。

「あっ…」

女性はすぐに踏ん張り、手すりを握り直しました。近くにいた何人かも、思わずそちらを見ます。

それでも男性は携帯から顔を上げず、リュックもそのままでした。

私も「声をかけたほうがいいかな」と思いましたが、知らない人に注意するのはやはり勇気がいります。言葉を探しているうちに、また電車が揺れました。

「すみません」と声をかけた女性

そのとき、少し離れた場所に立っていた会社員風の女性が、男性のほうへ体を向けました。

「あの、すみません」

男性は気づかず、携帯を見ています。

女性は少し声を大きくしました。

「すみません、そのリュック…膝の上に置いてもらえませんか?」

そこで男性がようやく顔を上げました。

「え?」

女性は高齢の女性のほうをちらりと見てから、空いているはずの座席を指しました。

「立ってる方も多いので。そこ、空けてもらえると助かるかなって」

男性は一瞬きょとんとしていましたが、周囲を見回すと、自分の隣に置いたリュックへ目を落としました。

「あ…そういうことか。すみません」

少し気まずそうにリュックを持ち上げ、膝の上へ抱えます。

席が空くと、声をかけた女性が高齢の女性に笑いかけました。

「よかったら、座りますか?」

「あら…いいんですか。ありがとうございます」

「いえいえ。揺れると危ないですから」

高齢の女性は「助かります」ともう一度頭を下げ、ゆっくりと腰を下ろしました。

リュックの男性も小さく「すみませんでした」と言い、その後は荷物を膝の上に抱えたまま携帯を見ていました。

強い言い争いになったわけでも、大げさな騒ぎになったわけでもありません。それでも、誰かが一言声をかけただけで、ずっと使えなかった一席が、本当に必要としていた人のために空いたのでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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