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小学校受験の「お約束」って? ネット検索ではわからない「お教室選びの紹介制と暗黙のルール」とは…【著者対談】

  • 2026.9.10

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「小受」。就学前の子どもたちが、名門小学校への入学を目指す小学校受験のことだ。未就学児たちの進学塾とも言える幼児教室の送迎や、親子揃っての面接など、保護者がかかわるタスクの多い小受は、家族全員にとっての戦いでもある。しかし、中学受験や高校受験に比べると受験者は少ないため、小受とはどんなものなのか詳しく知る人は多くないだろう。

『君の背中に見た夢は』(外山薫:原作、たちばな豊可:漫画/KADOKAWA)は、そんな小学校受験に挑む家族の物語である。「子どもの将来の選択肢を増やせるのは自分だけ」という責任を感じながら、仕事との両立や夫との関係で葛藤する母親・茜の姿は共感必至だ。

原作小説の著者であり、慶應義塾大学出身という経歴を生かして教育分野での発信を続ける作家の外山薫さんと、3人の子どもを育てながら漫画家として活躍するコミカライズ版の著者・たちばな豊可さんのふたりに、本作に込めた想いや制作の裏話について伺った。

※個人の体験、お話をもとにインタビューを行っています。ご了承の上お読みください。

——幼児教室にまつわる取材で驚いたことや、作中で書ききれなかったことはありますか?

外山薫さん(以下、外山):書ききれないというより、書けないことのほうが多くて…。

小学校受験は、家柄や子どもの能力の高さだけで決まるわけではないようです。たとえば、4月生まれは何人、5月生まれは何人と、生まれ月によって合格枠の数が決まっている学校もあったり。そのため、たとえ子ども同士が仲がよくても親同士はバチバチだ、とか。保護者同士のグループチャットでも小受の話は基本的にしない空気なんだけど、「うちは○○を受けるんですよ」とポンと言っちゃう人がいたり…みたいな話は、興味深かったんですが生々しすぎましたね。私は「庶民のお受験」に焦点を当てていたので、小説には書きませんでした。

推薦枠のある名門幼稚園もあって…って話もまるで殿上人のようで、取材しながら「ほんまかいな」と。

たちばな豊可さん:小受の世界は本当にクローズド。幼児教室のお受験ガイドも読みましたけど「子どもをスクスク育てたいなら、こういうことをやらせるといいよね」的な表向きの部分しか載ってない。ナマの情報を知ろうと思ったら、中に入って人と話さないと出てこないんだろうなって。

外山:そうそう。お教室選びにしても、この小学校を目指しているなら美術はこの教室に行って、体操はこの教室に行って…みたいな「お約束」があるんです。でも、ネットで探してもそんな情報は出てこないし、そもそも紹介がないと入れなかったりしますから。

ワーママの場合だと、日中は仕事をして…となるため受験がらみのお付き合いが少ないケースもありますよね。そうすると、いわゆる大手の教室に通い続けて、お受験が終わってから「そんな情報があったの?」と気づくことがあるらしいです。

最近は有料noteなどで情報発信する人も出てきたので、昔よりは情報の民主化が進み始めたと言われていますけど、中学受験などに比べたら、まだまだ。

——有料noteといえば、実際に小受情報を発信している狼侍さんのお名前も作中に登場していました。

外山:私はもともと教育関連の発信者の方をウォッチしていたので、狼侍さんをフォローしていたんです。小説の取材のために連絡をとったら、真っ先に「茶化すのはやめてください。真剣だったら情報を出します」と言われ、これはぜひきちんと向き合いたいと感じて小説の構想を話しました。

志望校の選び方について「進学実績がいいところを選んだほうがいいのでは」と尋ねたら、「同じキリスト教でもプロテスタントとカトリックでは教育方針が違うから、高偏差値乱れ打ちみたいな発想は捨てたほうがいいです」と言われたりして。取材で聞いたことをそのまま作品に反映させてもらえるような、とてもいい取材でした。

狼侍さんには本当にお世話になったので、小説と漫画の両方でご登場いただき、恩返しができてよかったなと思います。

取材・文=吉田あき

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