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ステルス性の癌で余命1週間だった父。突然やってきた家族の最期を受け入れるために言語聴覚士がやったこと【監修者インタビュー】

  • 2026.9.10
 (C)牧野日和・かなしろにゃんこ。/竹書房
(C)牧野日和・かなしろにゃんこ。/竹書房

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「お食い締め(おくいじめ)」病気や高齢で口から食べられなくなった人に対し、最後まで“食べること”へ丁寧に向き合えるように、本人や家族を支えていく食支援のことである。この言葉を考案し20年以上前から活動しているのが、言語聴覚士で摂食嚥下障害領域(飲み込み)を専門とする牧野日和先生だ。

『お食い締め 口から食べられないアナタへ ~言語聴覚士が見たそれぞれの選択~』(牧野日和(愛知学院大学教授):原案・監修、かなしろにゃんこ。:漫画/竹書房)には、牧野先生がこれまで出会ってきた患者や家族の葛藤が描かれている。

もう一度焼き肉を食べたいと願う、寝たきりの男性。生きる気力をなくした高齢の母に、なんとか好物を食べてもらいたい娘。「食べること」にまつわる最期の時間を、牧野先生はどのように見つめてきたのだろうか。原案者・監修者としての想いを伺った。

——牧野先生のお父様は癌でお亡くなりになったそうですね。最期は、あまり向き合う時間もなくお別れしたそうですが、折り合いをつけることはできたのでしょうか。

牧野日和先生:父親が死んだことはすごくショックでしたね。他人の死をたくさん見てきたくせに、父の死となるとやっぱり刺さるものが違うなとびっくりしました。私が他人に対して自分の父親以上の感情を持てなかったという反省もありますが、そこで学んだこともあります。

父親はステルス性の癌で、見つかったときには余命1週間でした。「介護にお金がかからない」「家族の手を患わせない」というメリットはあるかもしれませんが、家族が折り合いをつける場所がないですよね。

父の意識はほとんどなかったのですが、以前に酒を飲みたいと言っていたのを思い出して、担当医に相談の上、個室で飲ませました。父はひとくちしか飲まなかったですけどね。私の兄弟も来て、残った酒を男3人で飲むよと話しかけたら頷いていました。あれはあれで良かったと思います。それが僕にとっての折り合いでしたね。

父親のおかげでお食い締めに対する気持ちが高まったので、父親が僕を一人前にさせてくれたのだなと今では思っています。

私は心理学もやっているのですが、こうやって誰かに語ることも、家族の死を受け入れるために大事なことです。

取材・文=吉田あき

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