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次に王になるのは誰? 欧州ロイヤルの王位継承者とルールを一気に解説

  • 2026.4.26
Max Mumby/Indigo / Getty Images

国内だけにはとどまらず、世界中から注目を集めているヨーロッパ各国のロイヤルファミリー。中でも今、日本のロイヤルファン&ウォッチャーたちの関心を集めているのがお世継ぎ事情。つまり王位継承のルールがどうなっているのか。そこで今回はイギリスやスウェーデン、デンマークなどヨーロッパを中心とした王室&公室の法律とその変化をレポート。どのような事情で変わってきたのかも見ていきたい。

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イギリス

女王の国、でもロイヤルの男女平等は意外に遅かった

まずは日本に一番なじみのある王室、イギリスのロイヤルの現状から。イギリスといえば「女王の時代に栄える」といわれるほど、優れた女王を輩出してきた国。でも男女の性別を問わず、第1子が優先されるようになったのは他のヨーロッパの国より遅く2013年から。それまでの王位継承法では「国王の直系子孫」の中で「男子が優先」とされてきた。法改正によってようやく「2011年10月28日以降に誕生したものは、男女を問わず第1子が優先」に変更された。つまりチャールズ国王の次はウィリアム皇太子、そしてウィリアム皇太子の子どもたち、次にヘンリー王子とヘンリー王子の子どもたち、と続いていく。

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皇太子の子は「王位継承順位=生まれた順番」

「男女を問わずに」という変更が、わかりやすく表れているのがウィリアム皇太子の子どもたちの継承順位。「ジョージ王子→シャーロット王女→ルイ王子」と生まれた順にシンプルに並んでいく。2013年の改正前だと男子が優先。だから旧法だとルイ王子が生まれた時点でシャーロット王女の順位は1つ下がり「ジョージ王子→ルイ王子→シャーロット王女」になる。

しかし今は男女を問わないので、繰り上げも繰り下げも一切なし。またルイ王子に弟や妹ができた場合もその下に続き、ヘンリー王子以下の順位が1つ繰り下げられるだけ。ちなみにアン王女は2011年10月28日より前に生まれているので、弟のアンドルー元王子とその子どもたち、エドワード王子とその子どもたちの下に位置する。(アンドルー元王子の王位継承権を剥奪しろ、という世論も高まっているがそれはまた別の話とする。)

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時流に敏感だった女王の意向か

この法改正にはエリザベス女王の意向が影響したと言われている。一時期、イギリス王室はダイアナ元妃とチャールズ国王の離婚、ダイアナ元妃の事故死、アン王女やアンドルー元王子の離婚、ウィンザー城の火事とその修理にかかる費用問題などに伴い、支持率が急降下した時期があった。これらをきっかけに女王は国民から親しまれ、支持される王室を目指すように。2007年にはYouTube、2009年にはTwitter(現X)をスタートさせ、時代に沿った王室を実現させようと頑張っていく。社会はすでに男女平等が当たり前。男女格差をなくそうとする動きが広まっているのに、王室だけが男子優先なのは明らかに時代に合っていない。社会の変化や時流に敏感だった女王は、この法改正を心から望んでいたそう。

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スウェーデン

1979年から男女に関係なく君主に

ヨーロッパのロイヤルの中でいち早く男女平等を実現したのは、スウェーデン。もともとは男子にのみ王位継承権が与えられていたが、1979年に王位継承法を改正。性別に関係なく国王の第1子に相続人の権利を与える、最長子相続制(絶対長子相続制)を採用した。現在の君主であるカール16世グスタフ国王には、1977年に第1子で長女のヴィクトリアが、1979年に第2子で長男のカール・フィリップが誕生している。この改正が採用されたことでヴィクトリアが王位継承順位1位の相続人に。次の君主となった。現在ヴィクトリア王太子にはエステル王女(写真右)とオスカル王子がいるが、生まれた順番でそれぞれ継承順位2位、3位となっている。

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男女平等のグローバルリーダー

ちなみにスウェーデンは社会的な男女平等が実現している国として有名。日本経済新聞などによると、女性労働力率は現在80%を超えていて世界最高レベル。国会議員も閣僚も約半数が女性で、企業でも女性の管理職の割合が4割を超えている。こういった女性の本格的な社会参加が始まったのは1960年代後半から1970年代初め。つまり王位継承法が改正された時期と重なる。国会とスウェーデン王室が社会の流れを敏感にキャッチしたこと、そして国王の第1子が女子だったことが、王位継承法の改正に結びついたのではないかと見られている。

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オランダ

女王の多い国だけど、1983年まで男子優先

それに続いたのが、日本の皇室とも親しいオランダ王室。1887年までは、在位中の国王に男性の近親者がいない場合に限り、最も近親の女性が継承するというルールだった、1887年に法を改正し、女性にも王位継承資格が与えられるように。ただし男子優先だった。つまり姉と弟がいた場合、弟が王位継承順位1位、姉が2位だった。しかし1983年に再び法を改正。スウェーデンと同じ最長子相続制を採用した。

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カタリナ=アマリア王女が最長子相続制の最初の女王に

オランダは近年、女王が続いていた。1890年から1948年まではウィルヘルミナ女王が、1948年から1980年まではユリアナ女王が、1948年から1980年まではベアトリクス女王が在位した。一見、男子優先見えないのだが、実はこれは男子がいなかった結果。ウィルヘルミナ女王の兄たちはみんな若くしてこの世を去り、ユリアナ女王はひとりっ子。ベアトリクス女王は4人姉妹の長女だった。現在の国王ウィレム=アレクサンダーの子どもたちも全員女子なのだが、その第1子カタリナ=アマリア王女(写真左)は、最長子相続制で即位する最初の女王ということになる。可能性は低いけれど、これからウィレム=アレクサンダー国王(写真右)とマキシマ王子に男の子が生まれたとしても、カタリナ=アマリア王女が相続人であることは変わらない。

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ノルウェー

1990年まで男子のみ

現在スキャンダルに揺れているノルウェー。長らく男系男子のみが王位継承資格を持つという規定を採用していた。しかし1990年に法律を改正。一気に男女の区別なく誕生順に継承資格を持つ最長子相続制を採用した。

大きな改正だったせいか、政府は経過措置を導入。1970年以前に生まれた人については男子だけが王位継承資格を持ち、1971年から1989年までに生まれた人については男子が優先。それによって、1973年生まれのホーコン王太子が王位継承順位1位になり、その子どもたちが2位、3位と続く。姉で1971年生まれのマッタ・ルイーセとその子どもたちはその下に位置することになった。

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イングリッド・アレクサンドラ王女が初の女王に

こうして施行された最長子相続制でノルウェー初の女王となるのが、ホーコン王太子の第1子、イングリッド・アレクサンドラ王女(写真右)。彼女が生まれた翌年に第2子で長男のスヴェレ・マグヌス王子が生まれたが、王位継承順位は変わらない。

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ベルギー

1991年に男女の区別を撤廃

ノルウェーの法改正の翌年、同じように大きく制度を改めたのがベルギー。建国以来、初代国王レオポルド1世の男系男子だけが王位継承資格を持っていたが、1991年に当時の国王のボードゥアン1世の弟で、後のアルベール2世国王の子孫のみに限定された。そのタイミングで男系男子に限定せず、男女の区別のない最長子相続制を採用した。

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ベルギー

エリザベート王女が相続人に

この法律によって未来の女王となることが決まったのが、現君主のフィリップ国王とマティルド王妃の第1子で長女のエリザベート王女(上写真の左)。彼女が王位継承順位1位となり、弟のガブリエル王子(写真左から2人目)とエマニュエル王子(写真右端)は2位、3位、妹のエレオノール王女(写真左端)が4位となった。エリザベート王女はベルギー初の女王となる。

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デンマーク

2009年に男女が平等に

デンマークも長らく男系男子の、直系子孫にだけ王位継承資格を与えてきた。王女たちに王位継承資格は与えられなかったのだが、1953年の法改正で男系男子優先ではあるけれど、女子と女系継承を認める長子相続に変更された。つまり国王に息子がいない場合、国王の弟などが王位を継承するのではなく、国王の娘が優先されることになった。当時はフレデリック9世が国王で、その弟クヌーズ王子が王位継承順位1位。弟が未来の国王のポジションにいたが、この改正によって国王の長女であるマルグレーテが王位継承順位1位になった。そして彼女が即位、前君主のマルグレーテ女王(写真左)になったのである。

その後2009年に再び法が改正。男女の区別なく最長子相続制になった。ちなみに現在のフレデリック10世国王(写真右)とメアリー王妃にはヴィンセント王子&ヨセフィーネ王女という双子がいる。王位継承順位は王子の方が上だが、それは王子が先に生まれた兄だから。性別は関係ない。

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弟王子の人気のなさも手伝って法改正?

ちなみにフレデリック9世国王には3人の娘しかいなかったのだが、クヌーズ王子には息子が2人いた。だから法を改正しなくてもクヌーズ王子、そして彼の息子たちが王位を継げばOK。王室存亡の危機ということにならなかったのだが、それでも法改正をしたのはクヌーズ王子に人気がなかったからだといわれている。クヌーズ王子はちょっと……という世間の声と、男女平等が当たり前という社会的な意識の両方が高まった結果、法改正につながったと見られている。

(写真はフレデリック9世国王と娘たち。右端が当時13歳だったマルグレーテ女王である)

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スペイン

意外なことに男子優先

レオノール王女(写真)が次の君主として注目を集めているスペイン王室。でも意外なことに憲法は男子優先の最長子相続制である。2004年、当時の与党だった労働党が「男子優先は憲法で定められた男女平等の原則に違反している」と問題提起した。野党も含め、主要な政党すべてがこれに同意。性別を問わない最長子相続制で合意に達した。

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とはいえ憲法改正には至らず、翌年にフェリペ6世国王(当時は皇太子。写真左から2人目))とレティシア王妃(写真右から2人目)にレオノール王女(写真左端)が誕生。王位継承順位1位の相続人になった。続いて生まれたのも女子、ソフィア王女(写真右端)だった。男子が誕生せず現在に至るため、憲法もそのまま。これから国王夫妻に男子が誕生することになれば、その子がレオノール王女を飛び越えて王位継承順位1位に。次の国王になるのだが、その可能性はなさそう。レオノール王女の代になってから、改めて憲法改正が議論される可能性が高い。

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ルクセンブルク公国

2011年に男女の区別を撤廃。その理由は……。

昨年10月に君主が代わったばかりのルクセンブルク公国。1907年の法改正で女子にも大公位継承資格が与えられるようになったが、基本的に男子が優先だった。2011年、前君主のアンリ大公の時代にこれまで見てきた他国と同様、男女の性別を問わない最長子相続制を採用した。アンリ大公の子どもたちから実施されることとなったが、第1子のギヨームは男子。アンリ大公が退位したのに伴ってギヨームが即位し、今までと同じように男性が君主を務める時代が続いている。ギヨーム大公の第1子シャルル、第2子フランソワも男子。女性の君主が見られるのはもう少し先になりそう。

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法を改正したのは「国連の条約の差別に当たるから」

ちなみに2011年に法を改正したとき、公室は1979年に国連で採択された「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を理由として挙げている。大公位の継承資格で男子を優先するのは差別にあたるとルクセンブルク公室は解釈したのである。

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モナコ公国

女子にも資格はあるけれど、今も男子優先

アルベール2世大公とシャルレーヌ公妃の双子たち、ガブリエラ公女とジャック公子の美しい成長ぶりが注目を集めるモナコ公国。男子優先の長子相続制を採用している。つまり姉と弟がいたら、弟の方が順位が上。

たとえば故レーニエ3世大公と故グレース公妃にはカロリーヌ(写真右)、アルベール2世(写真左)、ステファニーの順番で3人の子どもがいた。レーニエ3世の後を継いて大公になったのが、カロリーヌでなくアルベール2世だったのは、男子優先のルールがあったから。

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ゆえに双子は公子が上に

このルールは双子のガブリエラ公女(写真左)とジャック公子(写真右)にも適用される。ガブリエラ公女の方が先に生まれたが、王位継承順位はジャック公子の方が上。公子が皇位継承順位1位、公女が2位となる。これから大公と公妃に第3子が誕生、その子が男子だった場合には、2位にエントリー。ガブリエラ公女が3位になる。

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ブータン王国

待望の王女は王位継承順位3位に

ここでアジアの事例もご紹介。ブータンではワンチュク家が王位を継承することが憲法で定められている。現在はイケメン国王として注目を集める第5代国王のジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクが君主。2008年に制定された憲法に基づき、男子優先ではなく直系の子孫が優先される。2023年9月に誕生したソナム・ヤンデン王女にも王位継承資格が与えられていて、その順位は第4代国王の次男、つまり第5代国王の弟よりも上である。

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直系の中では男子優先

現在は第5代国王の長男ジグミ・ナムゲル王子が1位、次男ジグミ・ウゲン王子が2位、ソナム・ヤンデン王女が3位、5代国王の弟ジゲル・ウゲン王子が4位になっている。もしこれから第5代国王にもう1人男子が生まれた場合、その子は3位にエントリー。ソナム王女以降が繰り下がることになる。

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タイ王国

タイは現国王の意向を重視

タイは1974年の憲法改正で女性にも王位継承資格を与えるようになったが、伝統として男性が優先。現在のラーマ10世国王の相続人は第3子で長男のディパンコーン・ラスミジョティ王子。第1子で長女のパッチャラキッティヤパー王女が2位、第2子で次女のシリワンナワリーナーリーラット王女が3位になっている。とはいえ王室典範では「現国王が男子王族の中から任命する」とされている。必ずしも現在の順位が絶対とはいえない。

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【写真】ヨーロッパの次世代君主はほぼ女性。2023年10月、デンマークのクリスチャン皇太子(写真中央)の誕生日パーティーには写真左からスウェーデンのエステル王女、ノルウェーのイングリッド・アレクサンドラ王女、オランダのカタリナ=アマリア王女、ベルギーのエリザベート王女と各国の未来の女王が勢揃いした。

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