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「手をつないだのに本気じゃない?」 思わせぶりな相手が憎い…美輪明宏さんは「悩む必要はない」と回答。その理由は?

  • 2026.9.9

「手をつないだのに本気じゃない?」 思わせぶりな相手が憎い…美輪明宏さんは「悩む必要はない」と回答。その理由は?

2026年6月、老衰のため91年の生涯を閉じた美輪明宏さん。人間関係の悩み、老いへの不安、生き方への迷い——。どんな相談にも、愛と人生への深い洞察をもって向き合ってきました。朝日新聞beの連載「悩みのるつぼ」から、美輪さんの回答をまとめた『ほほえんで生きるための人生相談』の一部をお届けします。第4回は、思わせぶりな女性が許せないという50代男性の相談です。

【相談】思わせぶりな女性が許せない(男性・50代)

結婚して20年の既婚男性です。昨年、元同僚で結婚10年の40代既婚女性に好意を打ち明けました。とはいえ、私は妻と別れるつもりはありませんでした。彼女にも、夫と別れてほしいとは思っていませんでした。

幼い子がいる彼女は「男女の付き合いは無理」と言いつつ、私を何度も引き留めました。私の職場に「会うのが楽しみ」という内容の手紙も届きました。「旦那じゃダメ」とか、私のことを「絶対必要」とも言いました。結局、二人で映画に行ったり飲みに行ったりしました。何度か手もつなぎました。

しかし、そんな言葉ほどの好意を感じることはできず、もてあそばれていると感じました。社交的な彼女は他の男を飲みに誘うこともあり、私は次第に不信感を抱くようになりました。

告白から半年後、改めて彼女に気持ちを聞きました。私を「一番の理解者」と言いつつ、「交際は無理」と。私は「信じられない」と返し、改めて連絡を絶ちました。すると「好きという気持ちを封印していた」などと未練を装うメールが来ました。しかも「最後にもう一度会ってほしい」と言いながら、「子どもを連れていってもいいですか?」とも。別れ話をするのに非常識です。私だけでなく、夫や子どもも大切にしていない人なんだと思いました。今では憎しみさえ感じます。こんな私はおかしいのでしょうか。

【回答】あなたは鏡の代わり。そしてどっちもどっち

お相手の女性は、自分がどの程度の男性に求められるのか、まだ魅力的なのかを知りたいのでしょうね。つまり、相談者は、もてあそばれていたというより、あの「鏡よ、鏡」の、鏡の代わりです。異性として見ていたなら、早い段階で最後まで関係を持っていたのではないでしょうか。

「鏡よ鏡、私はどれだけ老けました? まだ大丈夫かしら。器量の悪い女になっていないですか?」と、相談者に会うことによって一つ一つ確かめていたのでしょう。

そう考えると、手をつなぐだけで関係が止まったことも合点がいきます。ですから、あなたが彼女に憎しみを抱く必要なんてありません。あなたのご推察どおり、彼女は夫や子どもも愛していないのではないでしょうか。家族を愛しながら、相談者も愛していたのなら憎しみを感じる筋合いはありますが、そうじゃないのですから大丈夫です。

さて、ここからは相談者についてです。あなたは世間知らずだと思います。「会うのが楽しみ」と言われて、簡単に有頂天になるなんて。

でも、図々しいところがあるのがすごいですよね。思い詰めて告白したことを振り返り、「妻と別れるつもりはない」と。そうですか……。「妻と別れて彼女を待つ。彼女は夫と別れてくれない。だから憎い」なら分かるのですが、そうではないのですね。

とにかくは、二人とも離婚してご家族を失わなくてすみましたね。いや、そもそも、そんなつもりも進展もなかったんですよね。いずれにしても、よかったです。まあ、どっちもどっちですよね。

相談者はご自分を被害者のようにおっしゃいますが、奥様から見たら、あなたは加害者です。あなた自身も、ご家族を愛してますか? 私はお二人ともご自分のことを誰よりも愛しているように感じます。似たもの同士で、見ようによってはお似合いです。思いが交わればご勝手に。でも交わらなかった。結局、彼女にとってあなたは浮気をする魅力もなかった、とも言えるかもしれません。

「こんな私はおかしいでしょうか」。はい。確かにおかしいでしょうね。あなたも安全地帯にいながら、彼女と手を繋いだり飲みに行ったりして、それなりに楽しんだのではないでしょうか。50代になって青春気分を楽しめたのですから、それはそれでいいんじゃないでしょうか。つまり結論は、「悩む必要も、お相手を憎む必要もありません」。以上です。

※この記事は『ほほえんで生きるための人生相談』美輪明宏著(朝日新聞出版刊)の内容をウェブ記事用に再構成したものです。

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