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小泉今日子×小林聡美『団地のふたり』が刺さる理由。どんな日も楽しみを見つける50代の二人【第6話】

  • 2026.9.9

小泉今日子×小林聡美『団地のふたり』が刺さる理由。どんな日も楽しみを見つける50代の二人【第6話】

一昨年、NHK BSで大きな話題を呼んだ「団地のふたり」が、NHKドラマ10で地上波放送に。小泉今日子と小林聡美が演じる50代の幼なじみと、団地に暮らす人々との何気ない日常を、やさしいまなざしで描いた名作です。もう一度楽しみたい人も、初めて見る人も、その見どころを振り返ります。 ※ネタバレあり

更年期と思春期の体の不調がちょっと似てない?と

ありがたい存在であるはずの女性ホルモンは、厄介なことも連れてくるから、とにかく女性の体は不調ととなりあわせで忙しい。心と体のバランスが不安定な10代を越えて、そのあと少しは安定したと思ったら次は更年期がやって来る。でも、えんえんと人生のなかで“思い通りにならない”時間を経験してきている分、体とのつきあい方もうまくなっていく。だから、年を重ねるということは、楽しく生きるコツを身につけることでもある。この回ではまずそのことを教えてもらえた気がする。

今日はノエチ(小泉今日子)となっちゃん(小林聡美)が別行動をする日だ。ノエチはお父さん(橋爪功)を遠くの病院に連れて行き、なっちゃんは喫茶店へ行って、春菜ちゃんのお父さん(塚本高史)からの相談を受ける。

それは思春期の娘に関するお願いだった。小学校のキャンプの持ち物リストの中に生理用品があり、自分の代わりに買ってほしい。男親では分からないことが多いから、いろんなケアもしてほしい。こんな内容だった。話を聞いたなっちゃんは、親しい春菜ちゃんのためにできるだけのことをしようと奮闘する。

この回はノエチが冒頭で、汗が止まらないとか、小さなことでイライラすると不満をもらすため、てっきり更年期の話題がメインかと思っていたら、そこから大きく方向転換して、思春期の話にシフトしていく。ただ、この演出にはちょっとした狙いがあるようで、ノエチがふと、気になることを言い出す。更年期と思春期の体の不調がちょっと似てない?と。

そう、確かに私たちは若いころから女性ホルモンに翻弄されている。頭が重かったり、お腹が痛くなったり、予測不可能なことに振り回されて、世代が離れていても似たようなことで悩んでいる。

春菜ちゃんが、お腹が痛くなるのはいやだと不安を語るときに、なっちゃんやノエチはその不安を取り除いてあげようと優しく語りかける。安心させようとする言葉には、経験者としての説得力がある。この女子たちのやりとりを見ていたら、女の体に生まれてきてよかったな、と思えてくる。

そして春菜ちゃんの立場からしたら、ノエチやなっちゃんのような人生の先輩が自分の体のことを心配してくれるのは、すごく心強いだろう。なっちゃんが春菜ちゃんのために作った本は、これから先、折に触れて彼女の心の支えになるはずだ。

これは自分の「快気祝い」だ、とはしゃぐノエチ

そして今回は、ここからさらに女性の体について考えさせられるエピソードが用意されている。ノエチが乳がん検診に引っかかってしまったのだ。親の付き添いで行った病院で、軽い気持ちで受けた結果がまさかの再検査だ。

そこからはノエチの頭の中でいろんなシミュレーションがなされたのだろう。散らかり放題だった部屋をおもむろに片付けたり、謙虚なことを言ってみたり。さらには二度と会わないだろうと思っていた元夫と会うし、「団地に生まれ、団地に死す」という謎の言葉まで書き記している。

不審に思ったお母さん(丘みつ子)が、まず机の上にあった検診の結果を見つけ、続いてなっちゃんも知る。しかし、ノエチはずっと沈黙を通している。おそらく親友に心配させまいという思いからだろうが、かなり精神的にきつそうだ。

とうとうある晩、意を決してなっちゃんは体のことを尋ねてみる。この質問に対してノエチがどんなふうに応じたのか、そこはこちら側の想像力に委ねられている。おそらく不安でいっぱいのなか、涙もあったのかもしれない。とにかくふたりでじっくり話し込んだのだろう。

そして精密検査の結果が出る日、なっちゃんは「私は親友のためにごはんを作る。それがノエチのためにできるたったひとつのことだから」と祈りを込めて料理を作る。ここは感動的だ。

そしてノエチの無事が判明し、ふたりで抱擁しあうとき、張り詰めていた緊張がふっとゆるまって、いつもは冷静ななっちゃんの目から涙がこぼれる。

ふたりはひとしきり喜びをかみしめ、この日は春菜ちゃんも誘ってご飯を食べる。目の前に並んだごちそうを前に、今日は何の会?と春菜ちゃんが尋ねたとき、これは自分の「快気祝い」だ、とはしゃぐノエチ。そう、ついさっきまでどん底にいるような思いだった彼女にしてみたら、いまはこれくらいのことを言いたい気分なのだ。まさにいま、ノエチたちは人生を思い切り楽しんでいる。

そしてこうも思う。たとえ検査結果がよいものではなかったとしても、このふたりはすぐに楽しむ方法をみつけていくはず。そのときには必死になるのではなくて、あくまでも自分たちにとってのちょうどいい楽しみにたどりついていくのだろう。

今回は、ふたりの姿に大いに感化され、そして「ふたりのことをうらやましがっているだけでなく、リアルな生活のなかで自分にとっての“楽しく生きる”を実践していこう」というメッセージを受け取った。

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