1. トップ
  2. エピソード
  3. 「公共の場ではやめて欲しいけどな」向かいの座席に足を乗せて眠る夫婦。だが、足元を見て気づいた違和感

「公共の場ではやめて欲しいけどな」向かいの座席に足を乗せて眠る夫婦。だが、足元を見て気づいた違和感

  • 2026.9.8
「公共の場ではやめて欲しいけどな」向かいの座席に足を乗せて眠る夫婦。だが、足元を見て気づいた違和感

出張帰りに乗った、空いている電車

出張の帰り、地方の駅から各駅停車の電車に乗ったときのことです。

車内には、四人分の座席が向かい合って並ぶボックス席がありました。

夕方でしたが乗客はそれほど多くなく、窓側にも通路側にも空いている席がいくつもあります。

私は同僚と座り、窓の外を眺めながら帰ることにしました。田んぼや山が続く景色を見ているうちに、仕事を終えた緊張も少しずつ抜けていきました。

しばらくして、何気なく通路の向こうへ目を向けたときです。

少し離れたボックス席に、年配のご夫婦が座っていました。

ただ、普通に座っていたわけではありません。二人とも靴を脱ぎ、それぞれ向かい側の座席に足を伸ばしたまま眠っていたのです。

二人で四人分の座席を使っている状態でした。

車内が空いていたとはいえ、そこは誰かが座るための席です。

私は思わず、「ずいぶんくつろいでいるな」と感じました。

(公共の場ではやめて欲しいけどな)

わざわざ注意するほど困っている人もいませんでしたが、やはり少し抵抗があります。

座席の下に並んでいた二足の靴

ところが、そのまま視線を下へ移したとき、別のものが目に入りました。

脱いだ二人の靴が、座席の下にきちんと並べて置かれていたのです。

二足ともつま先の向きが揃い、通路にはみ出さないように収められていました。

私はその様子が妙に気になり、隣にいた同僚へ小声で声をかけました。

「あれ、見て」

同僚も足元を見て、少し驚いたように言いました。

「靴はすごくきれいに揃えてあるね」

「そこは丁寧なんだよね」

座席には足を乗せているのに、脱いだ靴だけはきっちり整えてある。

そのちぐはぐさがおかしくて、二人で顔を見合わせました。

もちろん、靴を揃えていれば座席に足を乗せてもいいという話ではありません。

ただ、最初に見たときの「ずいぶん行儀が悪いな」という印象とは少し違う、不思議な光景として記憶に残りました。

しばらくすると、ご夫婦は大きな駅で目を覚まし、靴を履いて降りていきました。周囲と揉めることもなく、そのまま静かにホームへ向かっていきました。

二人がいなくなったあと、同僚がぽつりと言いました。

「かなりくつろいでたね」

「うん。でも靴だけはすごく揃ってた」

今思い返しても、マナーとしては気になる行動です。それでも、座席の下に二足の靴がきっちり並んでいた光景だけは、なぜかはっきり覚えています。

それ以来、向かい合わせの座席がある電車に乗ると、ときどきあの二足の靴を思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ