1. トップ
  2. エンタメ
  3. 声が出ないままステロイドを飲んで舞台へ。マニックスが名盤ライヴを音源化

声が出ないままステロイドを飲んで舞台へ。マニックスが名盤ライヴを音源化

  • 2026.9.5

マニック・ストリート・プリーチャーズが、1994年の名盤『The Holy Bible』を全曲再現した2014年の公演を音源化する。歌ったジェームス・ディーン・ブラッドフィールドは、その夜インフルエンザで声が出なかった。(フロントロウ編集部)

1994年のアルバムを、丸ごと演奏し直した3夜

イギリスのロック・バンド、マニック・ストリート・プリーチャーズのライヴ・アルバム『The Holy Bible Live』が、10月23日に全世界同時リリースされる。収録されているのは、バンドのキャリアを決定づけた1994年の3rdアルバム『The Holy Bible』を全曲再現した公演だ。

録音されたのは2014年12月、ロンドンのラウンドハウスでおこなわれた3公演。アルバム発売20周年と、オリジナル発売時に伝説的とされたアストリア公演を記念したUKツアーの一環だった。収録曲は「Yes」から「P.C.P.」まで、オリジナル・アルバムと同じ13曲。オーバーダビングは一切施されておらず、3人編成のバンドが名盤を全力で演奏する音と、それに応える観客の大合唱がそのまま入っている。アルバムから「Faster(Live at The Roundhouse, London, 2014)」が先行配信されている。

声が出ない夜、ステロイドを飲んで立った

この再現ツアーについて、ボーカル/ギターのジェームス・ディーン・ブラッドフィールドが振り返っている。

「僕は、自分たちがまだ『The Holy Bible』を演奏できるだけのタフなバンドであることを証明したかった。軍隊のように一体となってステージでアルバムを叩きつける感覚が、まだ自分たちの中にあることを示したかったんだ。その筋肉の記憶、その誇りは今も残っている」

同時に、過去の名盤を再演することへの懐疑の目も意識していたという。「こうしたことをやれば、当然、過去というフィルターを通して見られる。”期待していたほどの輝きはない”と言われるかもしれない。そんな懐疑的な声を覆したいという思いが、僕の大きな原動力になった」

そして今回音源化されるラウンドハウス公演の時、彼の喉は限界だった。「ラウンドハウス公演の時は酷いインフルエンザにかかっていて声も出なかった。初日の夜はステロイドまで服用していたんだ。それでもステージに上がると不思議なほど声が戻ってきた。傷んだ声で『The Holy Bible』を演奏する恐怖から、何か超自然的なアドレナリンが湧いていたのかもしれない」。この状態で歌いきったことについて、「このアルバムを演奏するとき、自分は別の仮面を被っているような感覚になった。歌詞すべてに完全に入り込む必要はなく、そのエネルギーに身を委ねればよかった」とも語っている。

「リッチーの歌詞を、もう一度届けたかった」

ベース/作詞のニッキー・ワイアーにとって、この作品と向き合い直すまでには時間が必要だった。「『The Holy Bible』の楽曲に再び向き合えるようになるまでには長い時間が必要だった。何年もの間、ただ曲をそこに存在させ、成長し、変化していくのを見守ってきた。いつしか僕たちは楽曲そのものから少し距離を置いていたようにも思う」

全曲再現の話が持ち上がったのは、アルバム『Futurology』の成功でバンドが良い流れに乗っていた時期だった。そのままツアーを続けることもできたが、思考は『The Holy Bible』へと戻っていったという。「このアルバムの曲を一緒に演奏するのは決して簡単ではないと分かっていた。アルバム発売当時ですら、ライブで演奏するのはせいぜい5〜6曲だったからね」。それでもアイデアは膨らみ、ツアーでは『The Holy Bible』が容赦ないオープニングを務め、『Futurology』が第二部に組み込まれる構成になった。

ニッキーが挙げた最大の理由は、失踪した元メンバーの言葉だ。「『The Holy Bible』を最初から最後まで演奏しようと決めた大きな理由の一つは、リッチーの天才的な歌詞を、改めて大勢の観客に届けたかったからだ。そして、その言葉が今なお人々の心にどのように響くのかを見たかった。このライブ作品は、おそらく僕たちがバンドとして、友人として、『The Holy Bible』特有の精神状態を最後に共有できた瞬間を記録しているのだと思う」

『The Holy Bible Live』ジャケット
画像提供:ソニー・ミュージック

初回盤にあたる完全生産限定盤CD+Blu-ray(6,600円)には、長年のコラボレーターであるキアラン・エヴァンスが全公演を撮影して制作した映像作品『Be Pure, Be Vigilant, Behave』が付属する。これまで映画祭や特別上映でしか観られなかった作品で、一般販売は今回が初めて。通常盤CDは3,300円。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ