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TikTokのアルゴリズムが恋愛を壊す? 男性に届く女性蔑視コンテンツの実態

  • 2026.9.5
Courtesy/Mili Patel

いまTikTokやInstagramでは、デート中の女性が彼氏のスマホを掲げてもらい、「おすすめ」フィードをカメラに映す動画がトレンドになっている。その目的は、浮気の証拠を探すことではなく、普段どんな情報が彼のもとに届いているのかを知ること。本人が望んでいなくても、男性のフィードには女性蔑視的な“マノスフィア”(manosphere=男性中心のオンライン・コミュニティや言説空間)のコンテンツが大量に流れ込み、二人の関係にまで影響を及ぼす可能性があるからだ。

SNSのフィードは、男性の女性観だけでなく、恋愛における自分の役割や、パートナーに求めるものまで大きく変えつつある。私の周囲にも、長年連れ添ってきた男性の政治的な立場や相手への期待、伝統的な男女の役割に対する考え方が変わっていくのを目の当たりにした女性は多い。なかには、交際から10年もたって変化が表れたケースもある。

Ivan Pantic / Getty Images

二人の間ですでに答えを出したはずの問題まで蒸し返されれば、関係が大きく揺らぐのも無理はない。Z世代は、ジェンダーと力関係に対する価値観をSNSのアルゴリズムに強く左右される最初の世代かもしれない。だが、影響を受けるのは若者だけではない。ジェンダーに関する偏った情報は、SNSを利用するあらゆる年代の男性のフィードに入り込み、知らないうちにその考え方まで変えていく。そして最新の研究からは、この変化が驚くほど短時間で起こり得ることが明らかになっている。

Westend61 / Getty Images

ダブリンシティ大学のいじめ防止研究センターが行った研究では、TikTokとYouTubeにまっさらなテスト用アカウントを作り、そのまま動画を再生。その結果、男性と設定されたすべてのアカウントに、平均23分以内でマノスフィアや反フェミニズムのコンテンツが表示された。約2~3時間後、各アカウントが400本の動画を視聴した時点で、おすすめされたコンテンツの76~78%が、研究チームによって明確に「有害」と分類されるものになっていた。

男性や少年たちは、必ずしも自らこうしたコンテンツを検索しているわけではない。プラットフォームとアルゴリズムが、アカウントの性別に基づいて送り込んでくるのだ。特に2024年の選挙以降、マノスフィアが若い男性の政治意識に与える影響については盛んに議論されてきた。しかし、彼らの恋愛関係、そして彼らと付き合う女性たちへの影響については、それほど注目されてこなかった。

ミソジニスト(女性嫌悪主義者)であることを公言し、過激な言動で物議を醸すインフルエンサー、アンドリュー・テイト。 Ian Maule / Getty Images

キングス・カレッジ・ロンドンの女性リーダーシップ・グローバル研究所とイプソスが、29カ国の2万3,000人を対象に実施した2026年の国際調査によると、Z世代男性の31%が「妻は常に夫に従うべきだ」と回答。また、33%は「恋愛関係では夫が最終決定権を持つべきだ」と答えた。さらに、ほぼ4人に1人にあたる24%が、女性は「あまりに自立している」、あるいは自分の力だけで生きていけるように見せるべきではないと考えていた。こうした考えを持つ割合は、Z世代男性ではベビーブーマー世代の男性のおよそ2倍になった。

このような不均衡な価値観は、オンラインの中だけにとどまらない。男性がデートやセックス、結婚、そして女性が自分の身体について決める権利をどう捉えるかにも影響を与える。

こうしたメッセージは、自らを恋愛や“男性の孤独”の専門家と称するインフルエンサーから発信されることもあれば、“アルファ男性”(alpha male=集団の頂点に立つ、社会的・性的に最も優位で魅力的な男性を指す)を育てるコーチや政治系インフルエンサーを通じて広まることもある。発信者は違っても、主張はたいてい同じだ。「男性が主導権を握り、女性は従うべきであり、フェミニズムは正すべき問題だ」というものだ。

「超外見至上主義」の過激なストリーマー、インフルエンサーとして知られるクラビキュラー(Clavicular)。 Francois Durand / Getty Images

こうした状況を考えれば、多くの女性がデートや恋愛に慎重になるのも無理はない。現在、18~29歳のアメリカ人がセックスをする頻度は、1990年当時の同年代のおよそ半分にまで減ったと報告されている。彼氏のアルゴリズムを監視したり、初デートの相手がアンドリュー・テイトやクラヴィキュラーをフォローしていないか見極めたりする必要があるなら、誰かと付き合うよりも、恋愛から距離を置くほうが安全に思えるのかもしれない。

とはいえ、「おすすめ」フィードがその人の考え方を決定づけるわけではない。自分にどんな情報が表示されているのかを意識し、その内容をうのみにせず、自らフィードを整えることができる。また、そこで触れた考え方が恋愛関係に表れたときには、その影響に責任を持つこともできる。これからはSNSに何を見せられるかだけでなく、その情報をどう受け止め、どんな価値観を自ら選ぶかが、二人の関係を左右する時代になるだろう。

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