1. トップ
  2. 山を安心して楽しむためのプロのノウハウ2選 山岳遭難救助隊員になって学んだ備えと知恵

山を安心して楽しむためのプロのノウハウ2選 山岳遭難救助隊員になって学んだ備えと知恵

  • 2026.9.5

北海道生まれ北海道育ち。生粋の道産子であるHBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)が、趣味である「登山」と「山ごはん」を紹介する連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」。

自分の足で歩いた先にある絶景と、おいしいごはんは、もう最高!
文化部出身・運動神経ゼロの私でも楽しめる「コスパはなまる山」が盛りだくさんです!

※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。

8月11日は「山の日」でした。
安全な登山を楽しむため、「山のプロ」である道警の山岳遭難救助隊員に密着し、事故を防ぐ対策と緊急時の対応を学んできました。

ことしも山岳遭難救助隊に!

道警の山岳遭難救助隊。
遭難や「けがで下りられない」などの通報を受けると、すぐに現場に駆けつける山のスペシャリスト集団です。

8月9日、私は一日山岳遭難救助隊に任命していただきました!

Sitakke

天気に恵まれ、大勢の登山客が訪れた樽前山。
十分な量の水やクマよけの鈴、クマスプレーなどを持っているか、登山客にたずねます。

登山中、気になったのが隊員のザック…試しに持たせてもらうと…。

お、重い…!!

自分と要救助者の食料や水、担架など救助に必要な道具が入ったザックは20キロ以上の重さがありました。

Sitakke

ぼーっとしていたら膝から崩れ落ちそうです。

これを担いだ状態で、急斜面を登ったり岩場を歩いたりするなんて信じられません。
訓練の賜物だな…と感じました。しかも自分がヘロヘロになるわけにいかない…。

使命感が詰まったザックはより重く感じました。自分が食べるためのものでザックがパンパンな私とは大ちがい…(苦笑)

実は私も不安があるんです…山で役立つテーピング術

Sitakke

次に教えていただいたのが、山でケガをする前に、予防するためのプロの技!

道警本部地域企画課 作田隆行課長補佐が教えてくれます。

「遭難者がけがをしたり、足に不安がある人が下山するときにねんざを予防するためのテーピングをやろうと思います」

足の先から15センチの位置に目印のテーピングをして、U字型に3周巻いていきます。

Sitakke

「足首を内側にひねってしまう動きを抑止したい。なので外側はピンピンに貼って、内側は緩くします」

これで捻挫や骨折の予防に効果があるといいます。

伸びないタイプのテープを使うと、よりしっかりと固定されます。

実は私も、登山を始める前からねんざ癖があり、山でも何度かケガをしたことがあります。
そのため、くるぶしまで覆われるハイカットの靴をいつも履いているのですが、テーピングをしてみると更に安定感が増しました!

ケガをしてしまう前に、自分でできることを…山を安全に、そして安心して楽しむために覚えておきたいですね。

カギを握る「気化熱冷却」

Sitakke

山頂に着くと、次に始まったのは救助訓練です。

熱中症で倒れている登山者を発見した想定で行われました。

まずは、呼吸の有無やけがの程度を判断し、その場で回復が見込める軽度の熱中症だと判断すると、水分をとらせて回復を待ちます。

水分は2リットルが目安で、最も効果的なのは成分が点滴と同じ、経口補水液です。

Sitakke

さらに、ポールに雨具を差し込んで大きなうちわのように使い、体に水をかけて気化熱を利用して冷やす方法も効果的です。

普段持ち歩いているもので対応ができるのは、なるべく荷物を軽くしたい登山者にとってありがたい知識です。

自分が元気でも、同行したメンバーやすれ違った方が熱中症になってしまう場合があるかもしれません。

Sitakke

知っておくこと、覚えて備えておくことは自分も大切な誰かも守ることにつながります。

こうした冷却と水分補給を30~40分続けても回復しない場合は「重症」。
すぐに救助要請をして搬送訓練です。

気象条件がそろえば、ヘリコプターで病院に搬送します。

日が暮れる前に救助を要請することが重要だということです。

Sitakke

ヘリで引き揚げるポイントまで運ぶ途中、樽前山特有の砂利道に悪戦苦闘…自分が転んでしまいそうで、すごく怖いんです。

砂利だけでなく大きな岩もところどころにあるため「せーの」で要救助者を持ち上げて運ぶ作業もありました。
傾斜地ですが、体の傾きが大きくなって要救助者に負担をかけないよう調整しながら運びます。

Sitakke

また、大切なのが要救助者への声かけ。「大丈夫ですか?」「もう少しですからね」など話しかけ続けて、意識状態を確認しながら歩きました。

ポイントに到着すると、強風の中で担架が回転しないように押さえつつ、要救助者をへリコプターにあげるのを手伝います。

無事、ヘリにのせることができました。

もしものときに、まず自分で備える

Sitakke

山は登って下りるだけでもヘトヘトになるのに、誰かの命を守るために重たいものを持って、気を配りながら活動している救助隊のみなさんは改めて本当にすごい…!

そして、少し経験しただけですが大変さを身に染みて感じました。
お世話にならないようにしなければ...!

登山をはじめて6年ほど経ち「これくらいは大丈夫」「まだいける」なんて慢心している部分はなかったか…自問自答し、気が引き締まりました。

道警本部地域企画課の作田隆行課長補佐は「夏山の遭難の原因で多いのが転倒と道迷い、その次に熱中症。水分と塩分をしっかりとって、時間に余裕を持って山に入っていただきたいと思います」と呼びかけていました。

目の前に広がる山頂からの絶景。
それを楽しむためには、十分な準備といざというときの対応をしっかり学ぶことが重要です。

次回の記事でも、「もしも」のときへの備えについて…山ごはんにつまった防災の知恵をご紹介します!

連載「堀内美里の言いたいことは山々ですが」

※北海道の山に登るときは、クマについても知っておきましょう。「クマに出会ったら」「出会わないためには」の基本の知恵は、HBCのサイト「クマここ」で、専門家監修のもとまとめています。

文:HBCアナウンサー・堀内美里(ほりうち・みさと)
北海道生まれ・北海道育ち。2021年入社。HBCラジオ「言いたいことは山々ですが」(毎週月曜午後6時~)HBCテレビ「あぐり王国北海道NEXT」「堀内美里の言いたいことは山々ですが」「吉田類 北海道ぶらり街めぐり」「大江裕の北海道湯るり旅」などを担当。登山歴6年。おいしくごはんを食べるために山に登っています。登山の魅力はインスタグラムでも発信中

取材:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は登山時(2026年8月)の情報に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ