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「もう一度、あの先輩と野球がしたい」右肘手術と1年半のリハビリを乗り越えて下した決断とは

  • 2026.9.2

憧れの先輩と再び野球がしたい——その一心で、中学での右肘手術と1年半の過酷なリハビリ、苦手な勉強をも克服したSさん。憧れの背中を追い続け、地道な努力で高校合格と秋のスタメンを掴み取るまでの泥臭い復活劇を描く実話コラム。

「あの人のようになりたい」憧れの先輩がくれた道しるべ

幼少期から同じチームで汗を流してきたA先輩は、Sさんとって特別な存在だった。卓越した野球の技術はもちろんのこと、チームを最優先に考えて動く姿勢や、生徒会長として全校生徒の先頭に立つ姿。そのすべてに憧れていた。

ボールすら投げられない。手術と1年半の空白

「先輩と一緒に野球がしたい」。その一心で同じ中学の野球部へと入部したが、待ち受けていた未来はあまりにも残酷だった。

入部からわずか1ヶ月、右肘に強い違和感を覚えた。はじめは疲労かと思ったものの、ボールを投げることすら難しくなり、病院で突きつけられたのは手術という決断だった。術後、医師から言い渡されたのは「運動全般の禁止」という重い現実だった。練習に身が入っていない同級生を横目に、自分だけがグラウンドに立つことすら許されない。「なぜ俺なんだ」「代わってくれよ」リハビリの日々の中で、やり場のない悔しさと焦燥感に押しつぶされそうになっていた。

結局、怪我の治療と過酷なリハビリで1年半という膨大な時間を費やした。同じグラウンドでプレーする夢は叶わないまま、先輩は引退の時を迎えてしまった。

空白を埋めた猛練習。遠回りして手にしたスタメン

だが、Sさんの心が折れることはなかった。

「同じ高校に入って先輩と野球をする」そう固く決意したSさんは、ペンを握り締め勉強に没頭し始める。もともと勉強は大の苦手だったが、箸とペンしか持てない期間を好機と捉え、友人に頭を下げて教えてもらい、塾にも通い詰めた。リハビリも地道にこなし、復帰後は遅れを取り戻そうと人一倍の猛練習を重ね、ついに先輩と同じ高校への合格を掴み取ったのだ。

高校へ入学してからも、足を止めるわけにはいかなかった。先輩と同じ舞台に立つには、自力でスタメンを勝ち取るしかない。全体練習が終わった後も、仲間やコーチに頼み込んで練習に付き合ってもらい、泥だらけになりながら白球を追い続けた。

そして高校1年の秋、念願だったスタメンの座を獲得した。

遠回りした1年半の空白を乗り越え、ついに叶えた3年越しの目標。憧れ続けた背中は、もう目の前にあった。

【体験者:20代・男性、回答時期:2026年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

Qolyコラムニスト:kana
学生時代はソフトボールに打ち込み、現在も夫とスポーツ観戦を楽しむWebライター。周囲にはさまざまな競技に携わってきた友人や家族が多く、選手たちの努力や葛藤、チーム内で生まれる人間関係に強い関心を持っている。試合結果だけではなく、その裏側にあるエピソードや思わぬ出来事に目を向け、スポーツの現場で生まれる感動や驚きを、読者にわかりやすく届けるコラムを執筆している。

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