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まだチケットは取れる!?フェルメール「真珠の耳飾りの少女」が大阪に!17世紀オランダ絵画の名品とその秘密に迫る特別展を徹底レポート

  • 2026.8.30

オランダのモナ・リザとも呼ばれる「真珠の耳飾りの少女」が大阪にやってきた!フェルメールをはじめ、レンブラント、フランス・ハルスら17世紀オランダ絵画の名品が集結する「フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日」が、大阪中之島美術館で2026年9月27日(日)まで開催中。会場で学ぶことができる絵画の秘密にも注目だ。

5階にある展示会場への入り口
5階にある展示会場への入り口

今回の展示は、作品を所蔵するオランダのマウリッツハイス美術館が改修工事によって臨時休館することにともない実現した。巡回はなく、大阪のみでの開催となり、連日多くの人が押し寄せている。

日時指定制のチケット発売分はすでに完売だが、追加抽選枠が設けられ、「チケットぴあ」のWebサイトにて追加抽選が行われている(追加抽選3:8月28日〜、追加抽選4:9月4日(金)〜)。リセールサービスも行われているので、こまめに公式サイトをチェックしよう。

マウリッツハイス美術館とは

同美術館は、オランダの政治・歴史の中心地であるハーグに位置し、1822年に美術館として公開された。規模は小さいものの、16~17世紀のオランダ・フランドル絵画を中心とした質の高いコレクションで知られている。フェルメール作品を3点、レンブラント作品を11点所蔵している。

マウリッツハイス美術館のマルティネ・ゴッセリンク館長。記者説明会では「自分の娘を日本に連れてきて、皆さんに預けるような気持ち」と話した
マウリッツハイス美術館のマルティネ・ゴッセリンク館長。記者説明会では「自分の娘を日本に連れてきて、皆さんに預けるような気持ち」と話した

今回はマウリッツハイス美術館側が選定した作品12点を展示。うちフェルメール作品は2点。それ以外の10点は、歴史画、肖像画、トローニー、教会内景画、風景画、静物画など、17世紀オランダ絵画の多彩なジャンルを6つのテーマで紹介。そのうち4点は日本初公開となる。

オランダ絵画の名作と日本初公開作品にも注目

展示は手前に歴史や肖像画など6つの章に分かれた10作品の部屋があり、その後、フェルメールに関する部屋2つを経て、フェルメールの2作品の部屋へと続く。フェルメール以外の作品から、日本初公開の注目作品を2点紹介する。

歴史画には、ピーテル・ラストマン「ラザロの復活」が登場。レンブラントの師匠として知られる歴史画の代表的な画家で、イタリアで学んだ後、アムステルダムで工房を開き、レンブラントもそこで学んだ。

今回の作品は、新約聖書に登場する「ラザロの復活」を題材にしたもの。キリストによって死者・ラザロがよみがえるという奇跡の瞬間に画面中央のキリストを囲む人々の驚きや緊張感が、劇的な場面を生み出している。レンブラントにも大きな影響を与えた重要作だ。

ピーテル・ラストマン《ラザロの復活》1622年 油彩/板 64×97.5センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
ピーテル・ラストマン《ラザロの復活》1622年 油彩/板 64×97.5センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

風景画からは、パウルス・ポッテル「水に映る牛」。28歳で亡くなった早世の天才画家で、特に牛を描いた作品で知られ、当時から高い評価を受けた。

今回の作品では、低い地平線を持つ典型的なオランダの風景の中に牛を描き、水面に映る姿や水浴びをする人々も表現している。単に牛を描いた作品ではなく、牛を中心に、光・水面・人々の営みまで一つの風景として描き出しているところがこの絵の魅力だ。

パウルス・ポッテル《水に映る牛》1648年 油彩/板 43.4×61.3センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
パウルス・ポッテル《水に映る牛》1648年 油彩/板 43.4×61.3センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

牛は酪農が盛んなオランダを象徴する重要な存在でもあり、市民生活の一端も感じられる作品。19世紀頃、パウルス・ポッテルはフェルメール以上に人気があった。

実物の作品だけに見られる筆致や、作品の質感をぜひ現地で確かめてほしい。

最後に待つのはフェルメール!2つの名画を鑑賞

そして展覧会の最後を飾る、フェルメールの2作品が、「ディアナとニンフたち」と「真珠の耳飾りの少女」だ。

作品にたどり着く前には、約20メートルの大型スクリーンでフェルメールの生涯や画風を紹介するコーナーも設置。現存する作品がわずか37点とされ、その希少性や「光の魔術師」と呼ばれる画家の魅力を、実物を見る前に知ることができる。

さらにフェルメールについて紹介するコーナーや、現存する37作品を紹介する展示もあり、気分が盛り上がること間違いなしだ。

内覧会にはフェルメールと同じオランダ生まれで、同展のアンバサダーミッフィーも、少女と同じ衣装で登場
内覧会にはフェルメールと同じオランダ生まれで、同展のアンバサダーミッフィーも、少女と同じ衣装で登場

展示の一室にまず現れるのが「ディアナとニンフたち」。23歳ごろに描いたとされるフェルメール唯一の神話画であり、初期の代表作だ。

古代神話における月の女神・ディアナが中央に描かれ、女神に付き従う森の精(ニンフ)たちと穏やかに過ごす様子が描かれている。この作品はかつて、レンブラントの弟子のニコラス・マースの作品と考えられていたが、1885年の修復作業中にフェルメールの作品であると判明した。

ヨハネス・フェルメール《ディアナとニンフたち》1653〜1654年頃 油彩、カンヴァス 97.8×104.6センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
ヨハネス・フェルメール《ディアナとニンフたち》1653〜1654年頃 油彩、カンヴァス 97.8×104.6センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

特別な空間で出合う「真珠の耳飾りの少女」

そしてラストは、世界的に知られ、オランダのモナ・リザとも呼ばれる「真珠の耳飾りの少女」だ。フェルメール33歳のころの作品。魅力的な少女像だが、実は特定のモデルがいるわけではなく、性格やタイプを表現するトローニーと呼ばれるジャンルの絵画である。

この作品のために、特別な展示空間が設けられている。青い洞窟のような場所を抜けると、広大な空間が広がり、そこに「真珠の耳飾りの少女」が展示されている。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

作品にいたるまでのスロープには、同作品に関する説明パネルが並び、作品にたどり着くまでの期待感を演出する。展覧会アンバサダーのミッフィーとコラボレーションした子ども向けのジュニアパネルなども用意され、幅広い世代が17世紀オランダ絵画に親しめる展覧会となっている。

壁に設置された説明パネル。向かって左側は、子ども向けのジュニアパネル
壁に設置された説明パネル。向かって左側は、子ども向けのジュニアパネル

スロープを下った先には、同作品を描くために使用した10種類の顔料を紹介するコーナーも。少女の唇に使われた鮮やかな赤のコチニールや、青いターバンを描くために使用した高価な顔料・ウルトラマリンの元になった宝石、ラピスラズリも展示されている。

「真珠の耳飾りの少女」を描くために使用した10種類の顔料を紹介するコーナー
「真珠の耳飾りの少女」を描くために使用した10種類の顔料を紹介するコーナー

「真珠の耳飾りの少女」の見どころをチェック

フェルメールの2作品は写真撮影が可能(フラッシュの使用、動画撮影、配信などは禁止)。作品前にはガラスなどもなく、意外と近くで見られる。対面する前に、あらためてその見どころをチェックしておこう。

「真珠の耳飾りの少女」のために設けられた展示空間 マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
「真珠の耳飾りの少女」のために設けられた展示空間 マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

■「真珠の耳飾りの少女」とは

「真珠の耳飾りの少女」は1665年ごろに描かれた作品で、フェルメールを支援した人物のために制作された可能性がある。少女の顔は筆跡がほとんど見えないほど滑らかに描かれる一方、衣服やターバンには大胆な筆致も用いられ、フェルメールが異なる技法を巧みに使い分けていることがわかる。

ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
ヨハネス・フェルメール《真珠の耳飾りの少女》1665年頃 油彩、カンヴァス 44.5×39.0センチ マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

特に青いターバンには、当時、金よりも高価だった天然のウルトラマリンが使われている。また、耳元の真珠は、左上の明るいハイライトと下側に映る白い襟の反射によって立体感が表現されている。ただし、これは本物の真珠ではなく、銀に錫か何かを塗ったものか、ベネチアンガラスなどで作られたものだった可能性が高い。

■修復によって明らかになった細部

1881年に再発見された際には作品の状態が悪く、その後、修復が行われた。特に1994年の大規模な修復では、黄変した古いニスなどを除去。その結果、長い間見えなくなっていた細部がよみがえった。

その一つが少女の唇で、わずかに開いた口元にピンク色の絵の具を二筆置いてハイライトを表現していたことが判明した。少女の眼差し、真珠、唇が三角形を描くことで、見る人の視線を自然に作品の中心へと導く効果が生まれている。

記者説明会で語られた、真珠の耳飾りの少女の修復の様子
記者説明会で語られた、真珠の耳飾りの少女の修復の様子

■最新の科学調査でわかった「緑のカーテン」

2018年から2023年には、科学者や修復家らによる大規模な調査が行われ、フェルメールの制作技法や作品の変遷が詳しく調べられた。

その結果、現在はほとんど見えなくなっている画面右上に、もともとは濃い緑色のカーテンが描かれていたことが判明。科学調査によって絵の具の成分や分布を分析すると、黒い層の上に緑色の絵の具が塗られていた痕跡が確認された。

フェルメールはほかの作品でも緑色のカーテンを描いており、遺産目録にも「緑色のカーテン」が記載されていることから、実際のアトリエにあったカーテンを繰り返し小道具として使用していた可能性も考えられている。

内覧会にて。作品を鑑賞するミッフィー マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague
内覧会にて。作品を鑑賞するミッフィー マウリッツハイス美術館 (C)Mauritshuis, The Hague

この絵の鑑賞にあたって、マウリッツハイス美術館のマルティネ・ゴッセリンク館長は、記者説明会で「少女の目をしっかりと見つめて。少女はきっと皆さんのことを見つめ返してくれると思います」と語った。

少女の瞳のほかに注目したいのが、光の魔術師と呼ばれたフェルメールが絵にちりばめた光の粒。これは「ポワンティエ」と呼ばれる技法によって表現されたものだ。瞳や真珠の輝き、つややかな唇を間近に見て、作品の魅力を感じてほしい。

フェルメール《真珠の耳飾りの少女》展 17世紀オランダ絵画の名品、奇跡の再来日

会期:2026年8月21日〜9月27日(日)

会場:大阪府大阪市北区中之島4-3-1 大阪中之島美術館 5階展示室

時間:9時30分〜17時(入場は16時30分まで)

※金曜日、9月6日(日)、9月8日(火)、9月12日(土)~9月16日(水)、9月19日(土)~9月27日(日)は20時まで(入場は19時30分まで)

休館日:会期中無休

取材・文・撮影=二木繁美

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