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母の看取りから2年後に父が倒れた…。涙の筆談「ありがとう」に見る親子の支え合いと、“無駄骨”な介護あるある【作者に聞く】

  • 2026.8.30

昨日大きな話題を呼んだ記事をプレイバック!見逃した人はぜひ読んでほしい。

右耳難聴や子宮内膜症など、自身の体験をわかりやすくコミカルな漫画で描いてきたキクチさん(@kkc_ayn)。なかでも、母親の自宅介護と看取りがテーマのコミックエッセイ『20代、親を看取る。』では、自宅介護の現実や、“親との死別”と向き合う中で複雑に揺れ動く感情が描かれており、同じ経験がある人や親の老いを感じ始めている同世代などから大きな反響を集め、2023年に書籍化された。

第1話1-1 作=キクチ
第1話1-1 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
第1話1-2 作=キクチ
 作=キクチ
作=キクチ

※本作は著者の闘病体験を描いたコミックエッセイです。紹介している病状や治療の経過には個人差があり、医学的な見解を代弁するものではありません。気がかりな症状がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れて…

コミックエッセイ『父が全裸で倒れてた。』は、母を看取ってから約2年後、今度は父が病に倒れてしまう話だ。母の介護・看取りを経たことで落ち着いて対応できることは増えたものの、あのときとは違い、一人っ子として頼れる家族がない中でさまざまな決断を迫られることになるキクチさん。いつかは誰もが直面する“親の老いと死”についてお届けする。

今回は、病に負けまいと力強く立ち向かう父の姿と、介護経験者なら共感できるかもしれないあるあるエピソードを紹介する。

筆談で意思疎通を図ろうとする父

面会時、「病には負けないぞ」と言わんばかりに力強くキクチさんの手を握り、筆談で意思疎通を図ろうとする父。会話でのコミュニケーションは取れないものの、必死に生きようとする父の気持ちが伝わってくるだけでも安心感があっただろう。

キクチさんは当時を振り返り、大変な状況の中で「ありがとう」という言葉が最初に出てくることの難しさを口にする。「私ならどうするんだろう。目を合わせて、手を握るので精一杯になりそう」と語り、父の行動には「生きてやるんだ」というエネルギーがあふれていたと感じたという。

震える文字でホワイトボードに書かれた「ありがとう」と、父の涙。この先のことを考えるとキクチさん自身も悩みは尽きないが、涙を流す父を前にすると自然とポジティブな言葉が出てくるところに“親子の支え合い”を感じる。

父が涙を流すときはいつも「こんちくしょー!泣かされちゃったぜ!」と我慢しながら泣くタイプだったという。だからこそ、このとき初めてポロポロと涙を「普通に」流す姿を見て、さすがの父でも心の中では不安でいっぱいで、つらく弱っているのだと痛感したそうだ。父の性格的に、寄り添うよりも鼓舞するほうがよいだろうと判断し、「やってやろうぜ!」「ファイト!」と励ますと、みるみるうちに涙が止まり、少し心が切り替わったように見えたという。

見返りは求めない。空振りも笑い飛ばす介護のリアル

コロナ禍で母が入院し面会ができなかったときには、近況を新聞のようにまとめた「KIKUCHI JOURNAL」を作って持っていくなど、デザイナーとしてのスキルも生かしながら介護をしてきたキクチさん。今回も指差しボードを作ったものの、父はお気に召さなかった様子。それも“介護あるある”とのことで、共感できる人も多いかもしれない。

キクチさん曰く、介護というのはこちらが「普通」の感覚でよかれと思って行動しても、空振りで終わることが多いという。母を在宅介護していた際も、介護食をストックしたがリクエストはアイスなどばかりで、結局自身がすべて食べたというエピソードを明かしてくれた。「大きいテレビを買ったけど、薬のせいでほとんど眠るようになって見なかったり。元気な状態の人間には想像もつかないようなことが起こるのを経験していたので、父のことも『あらら、仕方ないか〜』で済みました」と笑う。

「でもそもそも私がやりたくてやっているだけで、感謝されたいとか見返りを求めているわけではないので、介護という場面じゃなくても『仕方ないね』で終わるような気がします!(笑)」と、明るく締めくくってくれた。

父の病状が一気に好転したわけではないけれど、病に負けず生きようとする強い精神力を感じられた今回のエピソード。「無駄骨は介護あるあるなの?」と迷いながら、つらい状況も淡々と、ときにクスリと笑える場面を挟みながら描くキクチさんの漫画を、今後も楽しみにしてほしい。

医療監修=a0ba

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