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「形見代わりに貰うから、その時計を俺にくれよ!」法事の席で固まった私。だが、隣の妻が静かに返した言葉

  • 2026.8.28

法事の席で、親戚が私の時計に目を留めた

数年前のお盆、実家で法事がありました。

久しぶりに親戚が集まり、座敷に膳を並べて食事をしていたときのことです。

当時50代半ばだった私は、少し前に妻から贈ってもらった腕時計をつけていました。

派手なものではありませんが、妻と一緒に選んだ思い入れのある時計で、仕事の日にもよく身につけていました。

食事が進み、あちこちで世間話が始まったころ、斜め向かいに座っていた遠縁の親戚が私の手元を見ました。

「おっ、いい時計してるな」

私は「ありがとうございます」と返しました。ところが、その人は時計を見たまま、冗談めかした調子で続けたのです。

「形見代わりに貰うから、その時計を俺にくれよ!」

一瞬、何と返せばいいのか分かりませんでした。酒も入っていたので、本人としては軽口のつもりだったのかもしれません。

それでも、まだ元気にしている私を前に「形見」と言われ、素直に笑う気にはなれませんでした。

私は曖昧に笑ったものの、それ以上は何も言えませんでした。

隣にいた妻が、箸を置いた

すると、隣に座っていた妻が静かに箸を置きました。

「まだ形見の話をするような歳じゃないでしょう」

それから私の腕時計を見て、もう一言続けました。

「それ、私が贈った時計ですから」

声を荒らげたわけではありません。ただ、冗談として流すつもりはないことが伝わる言い方でした。

親戚は少し気まずそうな顔をして、「冗談や、冗談」と笑いました。すると近くにいた別の親戚も、「縁起でもないこと言うなよ」と軽くたしなめ、その話はそこで終わりました。

私は妻に小さく「ありがとう」と言いました。

あの一言以来、時計の話は出なくなった

それ以降も、その親戚とは法事などで何度か顔を合わせています。特別に関係が悪くなったわけでもなく、会えば普通に挨拶をします。

ただ、少なくとも私の時計について何か言われることはなくなりました。

あのとき自分ではうまく言葉が出なかっただけに、妻が必要なことだけを静かに伝えてくれたことを、今でもよく覚えています。

そしてその時計は、今も大切に使っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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