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「なんで気にならないの?」混んだ電車で荷物をどかさない乗客。だが、別の乗客がかけた一言で状況が一変

  • 2026.8.28

荷物がひとつ、席を占めていた

夕方の電車でのことです。

仕事や学校から帰る人が多い時間帯で、座席はすべて埋まり、通路にも何人もの人が立っていました。

そんな中、ひとつだけ気になる席がありました。

一人の乗客が座り、その隣の座席には大きな荷物が置かれていたのです。その人は手元の画面を見たままで、周囲を気にしている様子はありません。

電車が駅に着くたび、さらに人が乗ってきます。

やがて、杖をついた人も乗ってきました。車内を見回していましたが、もちろん空席はありません。

座れる場所があるとすれば、荷物が置かれている一席だけでした。

その席の前まで来て、ちらりと荷物を見る人もいました。しかし、持ち主に声をかける人はいません。そのまま少し離れた場所へ移動していきます。

(なんで気にならないの?)

私も気になっていました。

「荷物を動かしてもらえませんか」と言えば済む話なのかもしれません。それでも、知らない人に注意するようでためらいがあり、結局何も言えませんでした。

荷物の持ち主も、わざと席をふさいでいるというより、混雑してきたことに気づいていないように見えました。

近くに立っていた人が声をかけた

次の駅でさらに乗客が増えたときでした。

荷物の近くに立っていた人が、持ち主のほうを向き、ごく普通の調子で声をかけました。

「混んだ電車ですし、その荷物は膝に置いてもらえますか」

責めるような言い方ではありませんでした。

声を荒らげることもなく、ただ必要なことを伝えただけでした。

荷物の持ち主は顔を上げました。

そこで初めて周囲を見たのか、立っている人たちに目を向けると、「あ、すみません」と小さく言いました。

そして荷物を持ち上げ、足元へ下ろしました。

空いた席には、先ほどから立っていた杖の人が座りました。

「ありがとうございます」

座った人がそう声をかけると、荷物を動かした人も軽く頭を下げました。

声をかけた人は特に何かを言うでもなく、そのまま吊り革につかまっています。

強く言わなくても伝わることがある

荷物が移動すると、それまでその席に向いていた周囲の視線も自然に散っていきました。

誰かが拍手をするようなことも、荷物の持ち主を責めるようなこともありません。車内はすぐに、いつもの夕方の電車に戻りました。

私は何も言えなかっただけに、あの人の声のかけ方が今でも印象に残っています。

相手を責めるのではなく、今の状況とお願いしたいことだけを伝える。たったそれだけで、気まずい雰囲気を作らずに状況が変わることもあるのだと思いました。

それ以来、同じような場面を見ると、あの日の短い一言を思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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