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「約60万円、期間は9か月」80代隣人に立ち会いを断られた実家売却→50代息子が選んだ“最後の手段”

  • 2026.9.14
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。親が施設に入ったのを機に、空いた実家の売却を考える方もいるのではないでしょうか。

今回は、実家の測量で隣の所有者に立ち会いを断られ、法務局に境界を判断してもらう手続きを進めたYさんの事例を紹介します。

築45年の実家で確定測量を依頼するも隣人から立ち会いを断られる

会社員のYさん(50歳)の実家は、地方都市にある築45年の戸建て住宅です。母が施設に入って空き家になったため、名義人である母と相談し、兄と一緒に売却の手続きを進めることにしました。

仲介会社に相談したところ、買主に土地の範囲を示すため、引き渡しまでに隣地との境界をはっきりさせておくよう求められます。そこでYさんは、土地家屋調査士に確定測量(隣地との境界を明確にする測量)を頼みました。

調査士によると、確定測量では隣地の所有者に現地へ立ち会ってもらい、境界の位置を確認して署名をもらう必要があるそうです。しかし、調査士が隣に住む80代の所有者へ連絡したところ、理由を告げられないまま断られてしまいました。

土地の角にあるはずの境界標(境界の位置を示す杭や金属のしるし)も、家を建てた当時のものは残っておらず、見当たりませんでした。確定測量は、ここで止まりました。

筆界特定の申請にかかった約60万円の費用と9か月の期間

調査士は、Yさんに別の方法を説明しました。

「立ち会いを断られても、売却が止まると決まったわけではありません。法務局に申請して境界の位置を判断してもらう、筆界特定という制度があります」

調査士は続けて注意点も伝えました。

「ただし、法務局が示すのは境界の位置までです。隣の方の署名が入った確定測量図はできないので、買主にはそのことを説明したうえで売ることになります」

筆界特定は、隣人が立ち会わなくても、法務局が外部の専門家の意見を聞きながら現地を調べて進める手続きだそうです。Yさんは調査士に依頼して申請を行いました。

結果が出るまでには9か月近くかかり、申請人が負担する測量の費用として約60万円を支払いました。法務局から境界の位置を示した書面が届き、Yさんは仲介会社を通じて購入希望者に経緯と書面を説明し、売買を前に進めています。

実家の売却前に確認したい確定測量図と東京法務局の目安期間

実家を売る予定があるなら、境界標が残っているか、手元に確定測量図があるかを親が元気なうちに確認してください。確定測量図は、家を建てたときや土地を買ったときの書類一式の中にある場合が多く、見当たらなければ仲介会社や土地家屋調査士に相談しましょう。

境界が分からず筆界特定を利用する場合、法務局に払う手数料は土地の評価額(固定資産税の計算に使う価格)で決まります。東京法務局の案内によると、実家と隣地の評価額が合わせて4,000万円ほどなら手数料は8,000円ほどです。

手数料のほかに、測量の費用もかかります。筆界特定では、法務局が境界の位置を判断するために現地の測量を専門家に頼むことがあり、その費用は申請人の負担です。東京法務局の案内では50万円から80万円ほどになる例が多く、申請から結果が出るまでの標準的な期間も9か月とされています。

境界の確認には時間がかかる場合があるため、売却の予定はその期間を見込んで組みましょう。

参考:筆界特定制度に関する“よくある質問”(東京法務局)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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