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「トイレが流れない」と子どもに呼ばれ…約5,400万円の注文住宅、夕立の停電30分で直面した“盲点”【一級建築士は見た】

  • 2026.9.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「夕立の停電で、トイレが流せなくなったんです。壊れたのかと思ったら、そうじゃありませんでした」

そう話すのは、2年前、郊外の住宅地に地元の工務店で注文住宅(3LDK・延床約95㎡/土地約125㎡、約5,400万円)を建てたAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

トイレは1階も2階も、すっきりしたタンクレストイレ。デザインと掃除のしやすさが決め手でした。ショールームで「タンクレスは電気で流すタイプ」と説明を受け、引き渡し時も「停電時の操作は取扱説明書を」と案内されていました。ただ、説明書は開かないまま2年がたっていました。

タンクレストイレは「電気で流している」

昔ながらのタンク式は、タンクにためた水を重力で流す仕組み。だから停電中でもレバーを回せば流せます。一方のタンクレスは、水道に直結した水を電気じかけの弁で制御して流すトイレ。例えばLIXILの案内にも、停電時はリモコンの洗浄ボタンは使用できないと明記されています。

あの夕方、雷とともに照明が落ち、子どもがトイレから「流れない」と呼びました。壁のリモコンは無反応で、レバーは見当たらない。Aさん夫婦は30分の停電のあいだ、トイレをあきらめて過ごしました。

「流せない」のではなく、「流し方が変わる」

実は、あきらめる必要はありませんでした。各メーカーは停電時の流し方を用意しています。例えばTOTOの案内では、レバーのないタイプは本体の後方カバー内に手動レバーがあり、引き続けて音が鳴ったら離すと流れる仕組み(位置や操作は機種で異なります)。LIXILも、機種ごとの洗浄レバー操作に加え、バケツで水を直接流す方法を案内しています。

つまり停電で変わるのは「流せるかどうか」ではなく「流し方」。それを知らなかったことが、あの夜の本当の原因でした。なお、断水時は水そのものが来ないため、くみ置き水でのバケツ洗浄になります。

Aさん夫婦はどう対応したのか

停電が明けた夜、初めて取扱説明書を開きました。自宅の機種の手動レバーの場所を確かめ、コンセントのプラグを抜いた上で、カバーの開け方から実際に一度流すところまで、家族全員で試してみました。読むだけなのと、一度やってみるのとでは、本番の落ち着きが違うからです。流し方のメモは、トイレの収納扉の内側に貼りました。

「停電」まで想定しておく

タンクレストイレは、見た目のすっきり感に加えて節水性も高く、掃除もしやすい人気の設備です。一方で、快適さを支えているのは電気。止まった日の作法だけは、動いているうちに知っておきたいところです。以下を確かめてみてください。

・タンクレスの家は、停電時の流し方を取扱説明書で確認し、平時に一度、手動で流すテストをしておく
・流し方は家族全員で共有する
・断水時は水が来ないため、バケツ洗浄と災害用トイレの備えは別途用意する
・これから選ぶ人は、ショールームで「停電・断水のとき、どう流すか」を聞いてみる

止まった日の流し方さえ知っていれば、タンクレスは夏の雷の夜も、落ち着いて使える設備であり続けます。

参考:
断水時・停電時のトイレの流し方(LIXIL)
レバーハンドルがついていないタイプ(TOTO)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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