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「まさか、返す側がお金を払うなんて」築42年実家を国に返したい40代Gさん→解体費だけで…見積額に絶句【一級建築士は見た】

  • 2026.9.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「実家を国に返せる制度があると知って、これだ、と思ったんです。まさか、返す側がお金を払うなんて」

そう話すのは、隣県のマンションで暮らすGさん(40代夫婦・子ども1人の3人暮らし)。実家は、父が約42年前に約2,800万円で建てた地方都市の住宅地の一戸建て(築42年・5DK・延床約105㎡/土地約190㎡)です。

母は早くに他界し、父も昨年亡くなり、相続したGさんが月に一度、風通しと草むしりに通ってきました。相続の際、使わない土地を国が引き取る制度があると司法書士から耳にし、いざとなれば返せばいいと思い、条件や費用までは調べていませんでした。

相続した土地を、国が引き取る制度

2023年4月に始まった「相続土地国庫帰属制度」は、相続した土地を法務局の審査のうえ国に引き取ってもらえる仕組みです。制度開始前に相続した土地も対象です。きょうだいなど共有で相続した土地は、共有者全員での申請が必要です。ただし、建物が建っている土地は申請そのものができません。返すには、先に解体して更地にする必要があります。

さらに、申請には土地一筆(登記上の土地の単位)あたり1万4,000円の審査手数料がかかり、承認後には国の標準的な管理費10年分として負担金がかかります。原則20万円ですが、市街化区域(市街地として整備を進める区域)内の宅地などは面積に応じて高くなります。

「返す」ためにかかるお金

法務局の相談窓口で聞いた話は、Gさんの想像とは逆でした。更地にする必要があると知り、業者に解体費の見積もりを頼むと、残したままでは引き取りを認められない場合がある庭木や物置の撤去も含めて約180万円でした。実家の土地は市街化区域内の宅地で、約190㎡の負担金は試算で約77万円。手数料と合わせて、手放すのに約260万円かかる計算です。

しかも先に解体すると、住宅が建つ土地の固定資産税を軽くする「住宅用地の特例」が外れます。審査には8か月ほどかかり、更地になっている間は税負担が増える場合もあります。国に返すのは、無料の出口ではありませんでした。

「最後の選択肢」に置き直した

Gさんは順番を変えました。まず実家のある市の空き家相談窓口へ。解体費の補助制度は倒壊のおそれがある危険な空き家などが対象で、実家は対象外。不動産会社に査定を頼むと、古家付き土地(家を壊さず土地として売る形)ならリフォーム前提の買い手が見込めるとの見立てでした。Gさんは売却を先に進め、国庫帰属はどうしても買い手がつかないときの控えに置くことにしました。

実家を手放す前に確認したいこと

使い道のない土地を国が引き取る道ができたこと自体は、心強い変化です。実家じまいの選択肢が一つ増えたのは確かでしょう。一方で、費用も要件も審査もある制度だからこそ、頼る順番の見極めが欠かせません。

・建物が残ったままでは申請できない。解体して更地にする費用が先にかかる
・手数料は一筆1万4,000円で不承認でも戻らない。負担金は原則20万円(市街化区域内の宅地などは面積に応じて増える)
・先に解体すると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる場合がある
・まずは売却や活用から。市区町村の空き家窓口で補助制度と相談先を確認する

「国に返す」は最後の受け皿と心得て、売る・活かす道から順に検討してみてください。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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