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「こんなシミあった?」築30年超の実家売却前、大型タンスを動かした40代Aさんが直面した“想定外”

  • 2026.9.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

自宅に、普段ほとんど使わず、物置のようになっている部屋がある方も多いのではないでしょうか。たとえば、子どもが小さいうちは、将来の子ども部屋に家具や荷物を置いている家庭もあるでしょう。

普段使わない部屋は、家具の裏や荷物の下まで確認する機会が少なく、思わぬ異変を見落としてしまうことがあります。まして、家全体を使わなくなった空き家では、目の届かない場所がさらに増えてしまいます。

今日ご紹介するAさんも、数年間空き家になっていた実家を売却するために片付けを始めたところ、大型家具の下から「見覚えのないシミ」を発見しました。

いったい、使われていなかった部屋で何が起きていたのでしょうか。

「また使うかもしれない」と実家を残して数年

以前、実家の売却について相談を受けた、40代のAさんのお話です。

Aさんの実家は、築30年以上の戸建て住宅でした。母親が高齢になり、一人で暮らし続けることに不安を感じるようになったため、高齢者向けの施設へ入ることになったそうです。

実家には誰も住まなくなりましたが、当初は「母がまた戻るかもしれない」と考え、すぐには売却せず、そのまま残すことにしました。

空き家になってからもAさんはときどき実家を訪れ、窓を開けて換気をしたり、郵便物や庭の様子を確認したりしていたといいます。

しかし、数年が経つと母親も施設での生活に慣れ、「もう家に戻るつもりはない」と話すようになりました。Aさんたちも、母親が今後も施設で暮らしていくことを確認し、実家をどうするか改めて話し合うことに。

誰も住まない家でも固定資産税はかかり、庭や建物の管理も続きます。こうした負担も考え、「このまま持ち続ける必要はないだろう」と、実家を売却することに決めたのでした。

タンスを動かすと、床に「こんなシミあった?」

実家の売却を決めたAさんは、9月の連休を利用して兄弟と片付けをすることに。少しでも家を良い状態で見せようと、不動産会社へ査定を依頼する前に、残されていた家具や家財を整理しようと考えました。

特に物が多かったのが、北側にある普段ほとんど使われていなかった洋室でした。大型のタンスや収納棚、段ボールなどが置かれ、母親が住んでいた頃から一度も動かしていない家具もあったそうです。

兄弟で荷物を運び出し、長年置かれていた大型のタンスを動かしたとき、Aさんは床を見て思わず声を上げました。

「えっ!こんなシミあった?」

タンスが置かれていた床には、黒っぽいシミが広がっていました。

最初は、長年家具を置いていたことによる跡や汚れだと思ったそうです。しかし、よく見ると床に近い壁にも変色があり、触ってみると周囲とは状態が違うように感じられました。

「もしかして、どこかから水が漏れているんじゃ…」

Aさんは次第に不安になってきました。

空き家になってからも定期的に実家を訪れ、換気や建物の確認をしていたAさん。しかし、このタンスを動かして裏側まで確認したことは一度もありませんでした。

目に見える範囲には大きな異変がなかったため、「定期的に見に来ているから大丈夫」と思っていたそうです。

売却直前に判明した傷み。連休中に終わるはずの準備が…

原因が分からないまま売却を進めることに不安を感じたAさんは、専門業者へ相談することにしました。

床や壁を見ただけでは原因を判断できなかったため、床下や外壁、窓まわり、給排水設備なども含め、水分が入り込んでいる場所がないか確認してもらったそうです。

点検の結果、幸いにも大規模な漏水や構造部分の重大な不具合は見つかりませんでした。一方で、大型家具を長期間壁際に置いていたことで空気が通りにくくなっていたことに加え、使われていない部屋に湿気がこもりやすい状態が続き、床や壁の一部に傷みが生じていることが分かりました。

Aさんにとって誤算だったのは、建物の傷みだけではありません。

当初は連休中に家財整理を終え、その後すぐに不動産会社へ査定を依頼する予定でした。しかし、傷んでいる範囲を確認し、補修してから売るのか、それとも現状のまま売るのかを検討する必要が出てきたのです。

そこでAさんは、床や壁の状態を伝えたうえで不動産会社へ査定を依頼し、今後の売却方法について相談することにしました。

売却前に傷みが見つかっても、必ずしも補修したほうがよいとは限りません。補修費用以上に売却価格が上がるとは限らないためです。

定期的に実家を訪れていたAさんでしたが、大型家具の裏側までは確認していませんでした。結果として、連休中に終えるつもりだった売却準備は予定どおりには進まず、建物の状態確認や売却方法の検討に、想定外の時間と手間がかかることになったのでした。

空き家は見える場所だけの確認では不十分

空き家は誰も生活していなくても、湿気や換気不足、建物の経年劣化などによって状態が変化することがあります。定期的に訪れていても、見える範囲だけで問題がないと判断せず、普段目にしない場所まで確認することが大切です。

特に、将来的に売却する可能性がある実家では、家財整理を先延ばしにすることで、売却直前になって思わぬ傷みが見つかる場合があります。

実家を残していても、年月が経てば家族の状況や建物の状態は変わっていきます。空き家を所有し続ける場合は定期的に状態を確認するとともに、売却や活用など今後どうするのかについても、家族で早めに話し合っておきましょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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