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「上の階から漏れてきたのかと」台風の翌朝、9階天井にしみが…30代夫婦を襲った“意外な原因”【一級建築士は見た】

  • 2026.9.8
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「台風の翌朝、リビングの天井にしみが出ていたんです。上の階から漏れてきたのかと思って」

そう話すのは、4年前、都心近くの大規模マンション(築12年・3LDK・72㎡、約6,300万円)の9階を中古で買ったBさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。購入時の重要事項説明で、窓やサッシ、玄関扉は共用部分だと聞いていました。

ただBさんの感覚では、壁紙の内側までが「自分の家」。雨がどこから入るかまでは、考えたことがありませんでした。台風が抜けた朝、リビングの窓の上の天井に、うっすらと茶色い輪。最初に浮かんだのは「上の階の人が何かしたのでは」でした。

雨漏りは、たいてい「外」から入る

マンションで雨水が室内へ入る経路は、外壁のひび、目地のシーリングの切れ、サッシまわりの止水材の劣化、屋上やバルコニーの防水の傷み。どれも建物の外側の皮にあたる部分で、上の階の部屋の中ではありません。上階から漏れてくる水の典型は、給排水管など「生活の水」で、雨とは別の話であることがほとんどです。

そのため、台風の翌日のしみは、上の階よりもまず外皮の劣化を疑うのが筋。Bさんの最初の疑いは、方向が違っていました。

窓もサッシも玄関ドアも、実は共用部分

国土交通省の標準管理規約では、窓枠と窓ガラス、玄関扉(錠と内側の塗装を除く)、バルコニーは専有部分に含まれません。住人にあるのは「専用に使える権利」で、所有権は建物全体の共用部分という扱いです。だから共用部分の管理と修繕は、管理組合が責任と負担を持って行います。共用部分が原因で室内の壁紙や床が傷んだ場合、その復旧も管理組合の責任において、組合の管理費用や加入する保険などで対応されることが多いのです。

一方で、バルコニーの排水口の掃除のような「ふだんの使い方に伴う管理」は住人の責任。自分で業者を呼んで外壁やサッシに手を入れるのは禁物で、共用部分の勝手な工事は規約違反になるだけでなく、補償の面でも不利に働きます。

Bさん夫婦はどう対応したのか

後日、しみの写真を撮って管理会社へ連絡しました。数日後の調査で、原因はバルコニー側の外壁の目地のシーリング切れと判明。外壁の目地は経年劣化の計画修繕にあたるため、補修は管理組合の負担で行われ、天井の壁紙も組合の保険で張り替えられました。

Bさんの持ち出しはゼロです。上の階の住人は、まったくの無関係。疑いを口にしなくて正解でした。以来、強い雨の翌朝は窓まわりの天井と壁をひと目見る習慣です。

マンションの雨漏りは、「誰の」より「どこの」

高層階の眺めと、共用部分をみんなで維持する仕組み。マンションの安心は、その両方で成り立っています。以下のポイントを押さえておきましょう。

・台風後のしみは、上の階を疑う前に写真を撮って管理会社へ
・窓・サッシ・外壁・屋上防水は共用部分:管理と修繕は管理組合の責任と負担
・共用部分が原因の室内の被害は、組合側の責任や費用負担で復旧されることが多い
・自分で業者を呼ぶ前に相談を:共用部分の勝手な修理は補償や規約の面で不利に

「誰のせい」ではなく「どこから」。その順番で見れば、台風明けのしみも、ご近所関係を悪化させずに片づきます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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