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「引っ越すときに剥がせばいいし!」賃貸で壁一面に貼り続けた数年後、20代女性が直面した“思わぬ壁の状態”

  • 2026.9.7
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸物件では一般的に、壁紙を自由に張り替えることは難しいものです。一方、SNSでは「賃貸でもできるDIY」として、退去時に元に戻せることをうたったアイテムや施工方法を目にすることがあります。

なかでも、貼って剥がせるタイプの壁紙は、大がかりな工事をせずに部屋の雰囲気を変えられるとして紹介されています。殺風景な壁を自分好みに変えられるなら、試してみたいと思う方もいるでしょう。

しかし、「剥がせる」と書かれていても、どのような壁でも施工前とまったく同じ状態へ戻せるとは限りません。

今日は、SNSのDIY動画をきっかけに壁一面をアレンジした20代女性のAさんが、数年後の退去を前に思わぬ問題に直面したエピソードをご紹介します。

SNSで見つけた「貼って剥がせる壁紙」

Aさんは、賃貸住宅で一人暮らしをしていました。部屋自体に大きな不満はなかったものの、白い壁に囲まれたリビングにはどこか物足りなさを感じていたそうです。

そんなある日、SNSを見ていると「賃貸でもできるDIY」として壁紙を貼る動画が目に留まりました。使われていたのは「貼って剥がせる」と紹介されていた壁紙です。

何もなかった壁が少しずつ好みの空間へ変わっていく様子を見て、Aさんも興味を持ちます。

「これなら賃貸でもできそう。引っ越すときに剥がせばいいし!」

そう考えたAさんは、さっそく好みのデザインの壁紙を購入しました。このとき商品の説明や注意事項を細かく確認することはなく、退去時に簡単に元に戻せるだろうという考えでした。

休日を使ってリビングの壁一面に貼ってみると、白一色だった空間の印象は大きく変わりました。家具との相性もよく、想像以上の仕上がりにAさんは大満足。

その後も剥がれたり浮いたりすることはなく、特に問題を感じないまま数年間貼り続けていました。

数年後の引っ越し。「剥がすだけ」と思っていたところ…

数年後、Aさんは引っ越すことになりました。

荷造りを終え、家具や段ボールが運び出されると部屋は入居したころのようにがらんとした状態に。そこで最後に残ったのが、リビングの壁一面に貼った壁紙でした。

Aさんは、「あとはこれを剥がせば終わり」と、それほど心配していなかったそうです。

壁紙の端をつまみ、元のクロスを傷めないようゆっくりと手前に引いていきます。最初はスルスルと剥がれ、「これならすぐ終わりそう」と安心していました。

ところが、途中で嫌な音が。

「ベリッ…」

手を止めて壁を見ると、DIYで貼った壁紙だけでなく、元からあったクロスの表面まで一緒に剥がれています。

驚いたAさんは、今度は別の場所から慎重に剥がしてみました。しかし、そこにはベタついた粘着剤の跡が残ってしまいます。少し離れて壁全体を見ると、表面が剥がれた部分と粘着剤が残った部分が目立ち、貼る前とは明らかに違う状態になっていました。

「やばいじゃん。これ、本当に元に戻せるのかな…」

退去日が迫るなか、剥がすだけで終わると思っていたAさんは次第に焦りを感じ始めたそうです。

管理会社に相談して分かった「剥がせる壁紙」の落とし穴

「このまま自分で剥がし続ければ、さらに元のクロスを傷めてしまうかもしれない…」

不安になったAさんは作業を中断し、管理会社に相談することにしました。

壁の状態を確認してもらうと、元から貼られていたクロスの表面が剥がれている部分に加え、粘着剤が残っている場所も見つかりました。そのため、状態によっては借主による原状回復が必要になると説明されたそうです。

借主による原状回復とは、故意・過失などによって生じた損傷を退去時に元の状態へ戻すことです。

そこでAさんは、購入した壁紙の商品説明や注意事項を改めて確認しました。すると、「貼って剥がせる」とされている商品でも、下地の種類や状態、使用期間、施工する環境などによっては、きれいに剥がれなかったり、粘着剤が残ったりする場合があることを知ります。

「剥がせるって書いてあったから、元の壁には何も残らないと思っていたのに…」

SNSで見たときには手軽で便利に思えたDIY。しかし、数年間貼り続けた先のことまでは考えていなかったAさんは、「もっと注意事項を確認してから使えばよかった」と後悔したそうです。

賃貸DIYは「元に戻せるか」を施工前に確認することが大切

賃貸住宅では、通常の生活によって生じる経年変化や通常損耗については原則として貸主が原状回復費用を負担します。

一方、借主が自分で貼った壁紙によって既存のクロスを傷めたり、粘着剤の跡を残したりした場合は、居住年数に応じた借主の負担で原状回復を求められる可能性があります。

そのため、「貼って剥がせる」「賃貸でも使える」といった言葉だけで判断せず、施工前に商品の注意事項を確認することが大切です。使用できる下地の種類や長期間貼った場合の影響などを確認し、心配であれば目立たない場所で試してみるとよいでしょう。

また、賃貸借契約でDIYや内装変更についてルールが設けられている場合もあるため、あわせて確認しておきたいところです。

SNSでは施工直後のきれいな仕上がりが紹介されていても、数年後に剥がした状態まで分かるとは限りません。これは壁紙だけでなく、床に敷くシートやタイル、粘着式のフックなどでも同様です。

賃貸住宅でDIYを楽しむときは見た目や手軽さだけでなく、退去時に既存の内装を傷めず元の状態へ戻せるかという視点も忘れないようにしましょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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