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「壊れた車なんて、置いてたら見栄えが悪い」連休前の事故で修理工場は『満車』…見栄を張る50代男性の結末やいかに

  • 2026.9.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「壊れた車なんて、置いてたら見栄えが悪いじゃないか」

契約者のAさん(50代・男性)は、電話口でそう言いました。

事故で車が動かなくなれば、まずレッカーを呼ぶ。運んでもらえば、あとは修理工場で直るのを待つだけ。そう思われる方も多いのではないでしょうか。ところが大型連休の直前は、その運ぶ先が見つからないことがあります。行き場を失った車は、どこかで預かってもらわなければなりません。

このときAさんは、修理費とは別に1万円を超える負担を抱える手前まで来ていました。

今回は、損害保険会社で私が担当した、事故車の一時保管をめぐるお話です。

ミラーが外れた車は動かせない

Aさんの事故は、相手のいるものでした。走行中に接触し、車の左側を損傷しています。

「ミラーが取れただけなので、そのまま走れると思っていたんだけどね」

Aさんは後にそう振り返りました。損傷そのものは、廃車になるほどではありません。ただ、サイドミラーが完全に脱落していました。

見た目の印象では、そのまま走れそうにも見えます。しかし、後方を確認するための装置が失われている以上、道路運送車両法の保安基準を満たさず、道路交通法上もその状態で公道を走ることは認められていません。

事故現場に車を置いたままにしておくわけにもいかず、Aさんが事故受付の窓口に連絡し、レッカーが手配されました。

連休直前の修理工場に空きはなかった

問題は、運ぶ先です。Aさんが依頼しようとしていた工場は、すでに休みに入る直前。連絡の取れた工場も、抱えている車でいっぱいで、新たに受け入れられる状態にはありませんでした。

大型連休の前は、休みの間に車を使いたい人の依頼が重なります。工場の側も、休みに入る前に手をつけた車を仕上げなければなりません。どこかが怠っているという話ではなく、時期が重なった結果です。

行き先が決まらない以上、車をその場に残すこともできません。そこで取り急ぎ、レッカー業者の保管場所で預かってもらうことになりました。

私が事案の担当としてAさんと話したのは、その翌日です。

預かってもらえる時間には限りがある

ここで確認しておきたいのが、一時保管の扱いです。

レッカーの手配や搬送先での預かりは、保険に付帯するロードサービスとして提供されるものです。あくまでサービスである以上、無期限に続くわけではありません。

契約している商品や特約の内容によって差はありますが、一般的には48時間までとされています。それを超えた分の保管料については、基本的に保険会社は支払いません。

金額はレッカー業者によって幅があり、およそ1日あたり1,000円から3,000円ほどが一つの目安です。

自宅に運べる状態にありながら

Aさんの車は、レッカーで運べば自宅に置ける状態にありました。工場に入れるまでの間だけでも自宅に運んではどうかと、私はAさんに案内しています。連休明けであれば、入庫先の工場が無料で車を引き取りに来てくれると聞いていたからです。

「いやだよ。連休中には友達も自宅に遊びに来るんだ」

Aさんの自宅には、連休の間に人が集まる予定が入っていました。そこに壊れた車を置きたくない、というのがAさんの返答です。そのうえで私は、保管料の話をお伝えしました。

「そこまで保険のほうで見てもらえるものかと思っていた」

Aさんはそう言いました。連休の日数で換算すれば、1万円から2万円ほど。修理費とは別に、車を置いておくだけで積み上がっていく金額です。

「でも見た目がなあ」

Aさんの返事は、変わりませんでした。

カバーが同時に解消した三つの心配

Aさんが口にしていたのは、一貫して見た目の話でした。

そこで私は、車のカバーを持っているならかけてしまってはどうかと提案しました。カバーには、見た目を隠す以外の役割もあります。

事故車は損傷を受けた状態です。割れたり部品が外れたりした箇所から雨や風が入れば、損害が広がりかねません。屋外に置く以上、盗難やいたずらのリスクがあるため、その備えという意味もあります。

体裁を保ちながら、車を守ることにもつながる。Aさんの事情を否定せずに済む方法として、私はこの案を挙げました。

「まあ確かに、それなら隠せるし、いいか」

Aさんは私の提案を受け入れ、車はレッカーで自宅の敷地へ運ばれています。連休が明けてしばらくすると、修理工場が車を引き取りに来てくれました。

車のカバー1枚が、友人を迎える体裁とお財布を守り、車の損害が拡大するリスクも防いでくれたのです。

レッカーの先に残る「置き場所の問題」

事故で車が動かなくなったとき、多くの人が思い浮かべるのはレッカーを呼ぶところまでです。しかし実際に決めなければならないのは、その車をどこに置くのかという点でした。

連休の前に車を使う予定があるなら、いつも頼んでいる修理工場の休みと入庫状況を、一度確認しておくとよいでしょう。行き先の見当がつくかどうかで、その後の動き方は変わってくるはずです。

そして連休は出かけるイメージが強い時期ですが、友人や家族を迎える側に回る人も少なくありません。人を招く予定があれば、車の置き場所一つにも気を遣うことになります。

制約が増える時期ではありますが、そのすべてをお金で解決しなければならないわけでもありません。手元にあるもので乗り切れないかを、一度考えてみるのも大切なことなのです。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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