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15年前、若槻千夏はハンガーも選んだ。渋谷の店から続く仕事

  • 2026.9.23
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2011年9月、自身のアパレルブランド「W♥C」 初の路面店の内覧会で取材に応じる若槻千夏(C)SANKEI

今から15年前の2011年9月、若槻千夏が、自身のブランド「w♥︎c」初の路面店の開店を前に、報道陣の取材に応じた。場所は東京・渋谷。若槻はピンクの着ぐるみ姿で現れ、店づくりについて、ハンガーの色まで自分で選んだと話している。

テレビで軽快に話す姿からは、なかなか見えてこない仕事だ。スタッフの面接にも関わり、ハンガーの色など店の細部にも携わった。目立つ格好で取材陣を迎えながら、その口から出てくるのは、店を開けるまでの細かな作業だった。

ハンガーの色まで指定する

若槻が「w♥︎c」を始めたのは2009年。2011年10月に開店したこの店は、1階に洋服、2階に雑貨をそろえる構成だった。服を目当てに入った客が、別の階でも気になるものを探せる。ブランド名を冠した商品だけでなく、そこで過ごす時間まで用意する場所だった。

2011年9月の発表で若槻が挙げたのは、商品のデザインに限らない。ハンガーをどうするか、どんな人に働いてもらうか。店に入った客には一つひとつの選択が見えなくても、洋服を眺めるときの印象や、買い物のしやすさには関わってくる。

有名人の名前がある店は、それだけで人の目を引く。ただ、その名前に興味を持って来た人が、何を手に取り、どんな気分で帰るかは別の話だ。若槻がハンガーの色まで口にしたことには、商品の顔になるだけでは終わらない、店主としての手触りがある。

着ぐるみ姿の華やかな発表と、その前に積み重ねた地味な選択。その両方に関わっていたところが、このニュースのおもしろさだった。

絵本作家にも共通すること

仕事の形は、その後も変わっていく。2018年8月には、若槻が手がけるキャラクター「クマタン」が絵本になった。『おやすみクマタン』『クマタンとうんち』『たべたよクマタン』の3冊で、眠ること、トイレ、食事という、幼い子の毎日が題材になっている。

かわいいキャラクターを見せるだけの本ではない。なかなか寝ないクマタンが眠くなったり、苦手な野菜を食べようとしたりする物語を、親子で読む本だった。

発売に寄せた言葉で若槻は、子どもが喜ぶページや、繰り返し見たがる場面を考えながら作ったと説明している。読み手がどこで楽しくなるかを、ページごとに考える。服と絵本では扱うものは違っても、手にする相手の時間まで想像する仕事は続いていた。

店のハンガーと、絵本の一場面。完成したものを受け取る側には、あえて説明されなければ分からない工夫がある。若槻の仕事をたどると、表に出る明るい姿の背後に、そうした具体が見えてくる。

収録をだらだら長引かせないコツ

2026年9月現在、若槻は『ラヴィット!』の火曜レギュラーを務め、テレビ朝日では『若槻千夏のうるさい心理テスト』に出演している。店や商品を作ってきた人が、いまもバラエティーの現場で、話をする仕事を続けている。若槻は、収録をだらだら長引かせないよう、早口で話を進めることもあるのだそう。自分が先輩の立場になり、若手が長く待つことにならないよう心がけているという。話す速さにまで、共演する人の時間への気遣いがそこにある。

番組の画面に映るのは、勢いよく話す若槻の姿だ。その速さを、元気な性格だけで受け取っていた人には、少し意外な話ではないだろうか。場を盛り上げることと、場を長引かせないことを、同時に考えている。

15年前には、客が洋服を手に取る店の細部を整えていた。いまは、同じ収録に参加する人の時間にも目を配る。若槻千夏のにぎやかな仕事ぶりを支えているのは、そんな細かな配慮でもある。


※記事は執筆時点の情報です

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