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60代女性「台風が来るから現金を持っておきたい」希望額は1000万円…!→銀行員が慌てて“伝えた制度”に「知らなかった」

  • 2026.9.19
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。くまえり銀行員です。
今日は、台風が近づいていたある日の窓口でのお話です。

「台風が来るから、万一のことを考えて手元に現金を持っておきたいの」

そう話して来店されたのは、60代の女性のお客様でした。

災害への備えとして、手元に現金を置いておきたいという考えは、決しておかしなものではありません。停電などでATMやキャッシュレス決済が使えなくなることを考えれば、ある程度の現金を準備しておこうと考える方もいるでしょう。

ところが、お客様が希望された金額を聞いて、私は少し気になりました。

その金額は、なんと1,000万円だったのです。

「災害への備え」と聞いても、気になった1,000万円

「1,000万円を、ご自宅に置いておく予定ですか?」

そう確認すると、お客様は「そうよ。万一のときに必要になるかもしれないでしょう」と話されました。

台風への備えという目的は理解できます。ただ、1,000万円という金額は、やはり大きすぎるように感じました。

銀行の窓口では、高額な現金の出金を希望される場合、その理由や使い道などを確認することがあります。今回も、何かを疑っているというより、お客様が本当にその金額を手元に置く必要があるのか、もう一度考えていただきたいという気持ちがありました。

そこで私が思い出したのが、災害時の預金の払戻しについてです。

災害救助法が適用されるような大規模な災害時には、通帳や印鑑を失った場合でも、本人確認ができれば一定の金額(一般的には10万円〜20万円程度)を上限に預金の払戻しに対応する『金融上の特別措置』という仕組みがあります。

つまり、「台風が来たら銀行からお金を出せなくなるかもしれないから、今のうちに1,000万円を家に置いておく」という方法だけが、災害への備えではありません。

そのことをお客様にお伝えすると、少し驚いた表情をされました。

「そういうお金の出し方があるのね、知らなかったわ」

そして、しばらく考えたあと、出金する金額を1,000万円から300万円に変更されました。

「確かに」とお客様自身が気づいたこと

手続きを終えるころ、お客様がこんなことを話してくださいました。

「確かに、銀行まで来られなくなるってことは、自分の家ももう無事じゃないってことよね。そしたら、せっかくおろした1,000万円も津波で流されて、結局使えなくなってるわよね」

その言葉を聞いて、私も「そうですね」と頷きました。

最初にお客様が考えていたのは、「災害が起きても困らないように、できるだけ多くの現金を手元に置いておく」という備えでした。

でも、災害の規模が大きくなればなるほど、自宅に保管している現金そのものが危険にさらされる可能性も高まります。

だからこそ、銀行員としては、お客様の「備えておきたい」という気持ちを否定するのではなく、その方法についても一緒に考えることが大切だと思っています。

窓口で高額な出金を希望されたとき、確認を重ねることがあります。

それは、必ずしもお客様を疑っているからではありません。

今回のように、ご本人にとって「念のため」のつもりで準備しているお金が、本当にその方法で守れるのか、別の方法があることを知らないだけではないか。

そんな視点から確認することも、銀行員の役割の一つなのだと思います。

災害への備えは、「できるだけたくさんのお金を手元に置くこと」だけではありません。

そのときの状況に合わせて、どうすれば必要なお金を安全に確保できるのか。窓口での何気ない確認が、そんなことを考えるきっかけになることもあります。


ライター:くまえり銀行員
金融機関の窓口業務に携わり、日々さまざまなお客様対応を経験。忙しい日常の中で起こりがちな銀行手続きの行き違いやトラブルを、窓口の内側から見た視点で、読者に寄り添いながら伝えています。「知らなかった」が「なるほど」に変わる瞬間を大切に執筆中。


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