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築40年を超える一軒家の改修を建築家の中村好文さんに託した、写真家・小川真輝さんの住まい。

  • 2026.8.27

自分にとって〝居心地のいい部屋〞を追求した人々を訪ねた&Premium154号(2026年10月号)「わたしの部屋ができるまで」より、写真家・小川真輝さんの住まいを紹介します。

ダイニングの大きな開口には〈クヴァドラ〉のウールのカーテンと障子を組み合わせた。開閉によってさまざまな表情の光が生まれる。
屋上へ続く階段を作り、空間が縦につながる構成へ。踊り場には本棚を置いてライブラリーに。

建築家に委ねて見つけた〝普通〞の暮らし。

「暮らすなら、奇をてらわない、普通の家がいい」。そう話す小川真輝さんは、築40年を超える一軒家の改修を建築家の中村好文さんに託した。

昭和の家らしい間取りや意匠を気に入って購入した中古物件だったが、中村さんが提案したのは、今の時代に住みやすく、小さな子どもがいる小川さん一家のライフスタイルに合わせた大胆な変更プラン。なかでも大きく生まれ変わったのがキッチンだ。以前は北側の壁に囲まれた閉鎖的な空間だったが、料理好きの妻の愛美さんが家族と会話を楽しみながら立てるよう、家の中心へと移設し、開放的なオープンキッチンへ。光に敏感な写真家の小川さんのためにと、大きな窓には光を柔らかく受け止める障子を採用。さらに、ゆるやかなヴォールト天井が空間にやさしい陰影を生み出している。キッチン脇には小さなデスクも設けられた。小川さん夫妻は「なくてもいいのでは」と思ったが、中村さんは、「きっと必要になるから」と勧めた。今では愛美さんが読書をしたり、料理の合間にひと息ついたりする、欠かせない居場所に。加えて、見晴らしのいい屋上へ気軽に行き来できるよう室内に階段を新たに加えた。屋上では植物を育てたり、休日には朝食を囲んだりと憩いの場になっている。

当初は、既存住宅を生かした改修を想定していた小川さん。中村さんの提案は意外に感じたが、「一つひとつの工夫が日々の生活を支えている」という。〝普通の家〞とは特徴ない家ではなく、家族が気取らず、無理をせず、自然と同じ場に集まりたくなる家のことなのかもしれない。

〈心地よい部屋づくりの工夫〉

1階、2階ともに床面積は50㎡ほど。1階は夫婦、子どもたちそれぞれの寝室。支度時間が重なるのでトイレは2つ。2階はリビングとダイニングキッチンがひとつづきに。
梁をさりげなく隠すヴォールト天井。曲面が光を柔らかく反射し、昼は自然光を、夜は間接照明を広げ、空間全体に穏やかな陰影を生み出している。
階段に敷き込んだ〈山形緞通〉のウールカーペットは、裸足で歩きたくなる心地よさ。洗面室のガラス扉には夫妻お気に入りのインドの布を挟んだ。
L字形ソファの下には大型収納を造作。子どものおもちゃや夫婦それぞれの持ち物をしまえるようになって、リビングはいつもすっきり整う。
料理好きで知られる中村さんが手がけた収納棚は大皿を何枚も入れられる。配膳台も兼ねていて、この周りを取り囲んでカウンターのように使うことも。
キッチンの壁に設けられた小さなのぞき窓。向こうは階段を挟んで子どもたちのスタディスペースが。料理をしながらでも子どもの様子が見られる。
寝室の衣装部屋にはドアではなく、カーテンを取り付けた。扉の存在感がなくなることで、視覚的な圧迫感が軽減。心地よい温かみも感じられる。
出典 andpremium.jp
小川真輝写真家

1984年京都府出身。妻の愛美さん、2人の子どもの4人暮らし。夫婦ともども長年ファンだった中村好文さんに〝ラブレター〞を渡して改修計画が実現。

photo : Hinano Kimoto text : Mariko Uramoto

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