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「あのとき言えばよかった」隣人との水回りトラブル。だが、数年後に声をかけた結果

  • 2026.8.26
「あのとき言えばよかった」隣人との水回りトラブル。だが、数年後に声をかけた結果

排水口は、うちのベランダにひとつだけ

マンションのベランダには、うちの側にだけ排水口があります。

お隣のベランダから出た水も、仕切り板の下を通ってこちらへ流れてくる造りです。

そのため、排水口の周りにたまった落ち葉や砂を片づけるのは、自然と私の役目になっていました。特に不満はなく、そういうものだと思っていました。

ある日、掃除を少しさぼってしまい、排水口が落ち葉でふさがってしまったことがあります。

気づいたのは、お隣の奥様でした。

「すみません、お水がたまってるみたいなんですけど…」

仕切り板の向こうから声をかけられ、私は慌ててベランダへ出ました。見ると、排水口の周りには濡れた落ち葉と砂がびっしり張りついています。

「ごめんなさい。こっちが詰まってました」

私がしゃがんで取り除いていると、お隣からもほうきの音が聞こえてきました。

「うちの水も流れていくから、こっちも掃いておくわね」

ありがたいなと思った、そのときです。

仕切り板の下から見える水の流れが、排水口とは反対の方向へ動いていることに気づきました。どうやら奥様は、水をこちらへ流すのではなく、ご自分のベランダの端へ向かって掃いているようでした。

「あれ…?」

一瞬迷いましたが、せっかく手伝ってくださっているのに「逆ですよ」とは言えません。その日は結局、何も言わないまま掃除を終えました。

一度言えないと、ますます言いにくくなった

それからも、ときどき隣から掃除をする音が聞こえてきました。

そのたびに「あのとき言えばよかった」と思うのですが、一度黙ってしまったせいで、今さら指摘するのも変な気がします。

そんな状態のまま、何年か過ぎました。

ある晴れた朝、またお隣からほうきの音が聞こえてきました。私は少し迷ったあと、思い切ってベランダへ出ました。

「あの、もしかして水、反対側に掃いてませんか?」

しばらく返事がありません。

やがて、仕切り板の向こうから戸惑った声がしました。

「え?反対?」

「排水口、こっちにあるんです。だから、こっちへ流してもらったほうが……」

すると少し間があって、「あっ!」という声が聞こえました。

「じゃあ私、ずっと排水口から遠ざけてたの?」

思わず私も笑ってしまいました。

「たぶん…そうだったみたいです」

「やだ、もっと早く言ってくれればよかったのに」

そう言われて、「私も言おうとは思ってたんですけど」と返すと、二人でまた笑いました。

その日から、奥様は水をこちらへ向けて掃いてくれるようになりました。

何年も気にしていたことなのに、伝えてみればほんの数分の話でした。それからはベランダで顔を合わせると、掃除のことだけでなく、天気や季節の話も少しするようになりました。

言いにくいと思って抱えていたことほど、案外、普通に伝えたほうが相手も気楽なのかもしれません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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