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「この前、バスで見かけましたよ」話したこともない同僚。だが、私の予定まで知っていた薄気味悪い日々

  • 2026.8.26

「バスで見かけましたよ」

その頃勤めていた会社に、ほとんど話したことのない同僚がいました。同じ部署ではありましたが、席は離れていて、挨拶をするかどうかという程度の相手です。

ある朝、廊下ですれ違ったとき、その人が突然足を止めました。

「あ、この前バスで見かけましたよ」

「え……私をですか?」

思わず聞き返すと、その人は何でもないことのように笑いました。

「そうそう。朝のバス。窓側に座ってましたよね」

私は少し戸惑いました。その人と同じバスに乗った記憶がなかったからです。

とはいえ、通勤時間が近ければ、たまたま乗り合わせることくらいあるでしょう。

「全然気づきませんでした」

そう返して、そのときは深く考えませんでした。

「今度、あそこに行くんですよね?」

ところが、それから似たようなことが何度も続きました。

休憩室で顔を合わせると、急に話しかけられるのです。

「甘いもの、好きなんですよね?」

「え? ああ……まあ、好きですけど」

別の日には、もっと驚くことを言われました。

「今度のお休み、あそこに行くんですよね?」

私は思わず相手の顔を見ました。

「……それ、なんで知ってるんですか?」

「この前、話してたじゃないですか」

相手は少し笑いながら答えましたが、私はその人にそんな予定を話した覚えはありません。

しばらく考えて、ようやく思い当たりました。数日前、別の同僚と休憩室の端でその話をしていたのです。

おそらく近くにいて、聞こえていたのでしょう。

そう考えれば説明はつきます。それでも、自分が直接話していないことを当然のように知っている相手に、少しずつ落ち着かないものを感じるようになりました。

悪気がないからこそ、言いづらかった

その後も、その人は私が誰かと話していた内容をよく覚えていました。

「この前言ってたお店、もう行きました?」

「まだですけど……よく覚えてますね」

私が少し困ったように笑うと、相手はむしろ嬉しそうでした。

「なんか、覚えちゃうんですよね」

会話のきっかけにしたかっただけなのかもしれません。相手に悪意があったのかどうかは、今でも分かりません。

だからこそ、「やめてください」と強く言うほどでもない気がして、余計に困りました。

ある日また、「最近よく会いますね」と声をかけられたとき、私は笑いながらも少し距離を取って答えました。

「そうですね。でも私、ぼーっとしてるから全然気づかなくて」

それ以上、会話を広げることはしませんでした。

その後、私は部署を異動し、その人と顔を合わせる機会も自然となくなりました。

何か大きな被害があったわけではありません。それでも、自分が話しかけてもいない相手から、何気ない行動や予定を次々と言い当てられる感覚は、今思い出しても少しぞっとします。

あの人にとっては、ただ「よく覚えているだけ」だったのかもしれません。

けれど私は今でも、ときどき思うのです。

あの人は、いったいどこまで私のことを見ていたのでしょうか。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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