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「昨日は傘、持っていなかったよね」住んでいる場所を教えた覚えのない私に、先輩が言い続けてきた言葉

  • 2026.8.24

誰から見ても、評判のいい先輩だった

前の職場に、周囲から頼りにされている先輩がいた。質問をすれば丁寧に教えてくれるし、忙しいときでも嫌な顔ひとつしない。私も入社したばかりの頃は、ずいぶん助けてもらった。

「わからないことがあったら、いつでも聞いてね」

その言葉が心強くて、仕事で困るたびに先輩の席まで相談に行っていた。

仕事を覚えられたのは、この人のおかげだと思っていた。

少し気になるようになったのは、入社して半年ほど経った頃だった。

「彼氏はいるの?」

「どの辺に住んでるの?」

仕事とは関係のない質問が増えてきた。私は深く考えず、住んでいる地域についても大まかな範囲だけ答えた。住所やアパートの場所まで話したことはない。

偶然だと思おうとしていた

ある朝、給湯室で顔を合わせた先輩から、突然こんなことを聞かれた。

「昨日は帰り、遅かったの?」

前の日、私は友人の家に寄っていて、帰宅したのはかなり遅い時間だった。ただ、その予定を職場で話した覚えはない。

「少し遅かったかもです」

そう答えながらも、どうしてそんなことを聞くのだろうと引っかかった。

それからも、ときどき似たようなことを言われた。

「昨日は傘、持っていなかったよね」

その言葉だけなら、会社に着いたところを見られていたのかもしれない。

帰宅時間のことも、たまたま聞いただけなのかもしれない。

一つひとつなら説明はつく。それでも何度か続くうちに、私は先輩と話すたびに身構えるようになっていた。

理由が分からないことが、いちばん怖かった

先輩がなぜ知っていたのかは、最後まで分からなかった。会社の駐車場で会ったことがあるので、私の車を知っていたことは確かだ。ただ、それ以上のことは全部私の想像でしかない。

先輩は相変わらず周囲から慕われていて、私にもいつも通り穏やかに接してきた。

「気をつけて帰ってね」

その言葉さえ、以前のようには受け取れなくなっていた。

その後、私は事情があって部屋を引っ越した。職場では私生活の話をなるべくしないようにし、先輩との会話も仕事に必要な範囲だけにした。すると、いつの間にかあの手のことを言われることもなくなった。

結局、本当に何かをされていたのかは分からない。ただ、知られている理由を自分で説明できないことが、これほど不安になるのだと初めて知った出来事だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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