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仕事も家事も子育ても、「ちゃんとできない日」があっていい。人生とパンづくりを重ねた、心温まるコミックエッセイ【書評】

  • 2026.8.20
 ©mameko 2026
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【漫画】本編を読む

『パンを焼けない私たち』(まめこ:漫画、リケコ:レシピ監修/主婦と生活社)は、大人になった女性たちが、それぞれの人生の迷いや焦りと向き合う姿を描いたコミックエッセイである。「パンを焼く」という行動を通して、自分自身を見つめ直していく優しい物語だ。

登場するのは、高校時代をともに過ごした仲良し三人組。仕事や家事、子育てなどを経てそれぞれ異なる人生を歩みながら、「大人になればもっとちゃんとできると思っていたのに」と、あの頃に思い描いていた未来とは違う毎日に戸惑っている。そんな彼女たちは、立ち止まったときになぜかパンを焼きたくなる。しかし、そのパンも各々の抱える問題によって、思うように焼くことができない。そんな「焼けない」日々が、彼女たちの人生と重なっていく。

本作は「できない自分」を責めるのではなく、その気持ちにそっと寄り添ってくれるところが魅力だ。仕事が忙しくて余裕が持てない日もあれば、家族のために頑張り続けて自分を後回しにしてしまう日もある。夫の一言に傷つき、落ち込んでしまうこともある。それでも、少しずつ前を向こうとする彼女たちの姿は、同世代の女性の心境とリンクするのではないだろうか。

さらに、各エピソードに合わせたパンのレシピが収録されている。どれも初心者でも挑戦しやすい内容になっており、「漫画を読んで終わり」ではなく、実際にパンを焼いてみたくなる。登場人物たちの気持ちに寄り添いながら自分のためにパンを焼く時間は、作品の世界をより身近に感じさせてくれるはずだ。

パンはすぐに焼けるものではない。生地づくりや発酵など、オーブンに入れるまでにいくつもの工程があり、失敗しながら少しずつ上達していくものでもある。その過程は、人生とよく似ていて、「ちゃんとできない日」があってもいいことを教えてくれるのだ。毎日を懸命に生きている人にこそ手に取ってほしい。焼き立てのパンのように、心がふんわり温かくなるだろう。

文=七井レコア

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