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「減らさないのが一番」夫の退職金1,500万円を普通預金に入れた60代妻→3年後、通帳を記帳して判明した“50万円”の大誤算

  • 2026.9.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで退職後のお金の置き場所について相談を受けている柴田です。「金利が上がった」というニュース、インターネットやテレビでご覧になった方も多いかと思います。

実は、そのニュースを知っていても、自分の預金を1円も動かしていない人が大半です。今回は、退職金1,500万円を普通預金に置いたままだった60代のAさんのお話です。

「減らさないのが一番」と信じて3年

Aさん(60代女性)は、ご主人の退職金1,500万円を、長年給与振込に使ってきた地元の銀行の普通預金にそのまま入れていました。

「投資は怖いし、減らさないのが一番。普通預金なら元本が減ることはないから」。ご主人も同意見で、夫婦で「うちは堅実」と話していたそうです。

3年が経ち、通帳を記帳したときのこと。半年ごとに付く利息の欄を見て、Aさんは首をかしげました。金額があまりにも小さいのです。「金利が上がったってあれだけニュースでやっていたのに、うちには関係なかったのかな?」と疑問を持ったAさんは、私のところへ相談に来られました。

取り逃していた金額の正体

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

私が3年分をざっくり試算してお見せすると、Aさんはかたまってしました。普通預金の金利は、金利上昇局面でも他の預け先ほどは上がりません。一方、同じ「元本を減らさない置き方」でも、定期預金や個人向け国債なら受け取れる利息はもっと大きくなっています。

たとえば1,500万円を年1.5%で運用できれば、税引前で年22万5,000円。それが普通預金の年0.4%なら6万円です。差額は年16万5,000円で、3年放置すれば約50万円になります。

しかも、Aさんが預けていたのは、金利の引き上げが遅れていた地方銀行の普通預金でしたから、差はさらに開いていました。「元本は1円も減っていない」のは事実ですが、「預け先を工夫するだけ」で本来受け取れたはずのお金を取り逃していたことになります。

大事なのは、これが「損した」と気づきにくい種類の取り逃しだということです。通帳の残高は減っていないので、誰も教えてくれません。金利のある世界では、「置きっぱなし」は安全ではなく機会損失なのです。

もう一つ、見落とされがちな視点があります。物価が上がっている局面では、金利がほぼ付かないお金は、額面が同じでも買えるものが年々減っていきます。「元本が減らない」ことと「価値が減らない」ことは、同じではないのです。

元本を守ったまま金利を取りに行く選択肢

「でも投資はしたくない」という方に、私がよくご案内するのが個人向け国債の変動10年です。半年ごとに金利が見直されるため、金利上昇局面ではその上昇についていけます。年0.05%の最低金利保証があり、発行するのは国で銀行が破綻しても影響を受けません。

参考までに、2026年9月募集分(第198回債)の適用利率は年1.95%(税引前)でした。普通預金に置いたままのお金と比べると、同じ「元本が減らないお金」でも受け取れる利息はまるで違います。

換金についても、発行から1年経てば中途換金できます。その際は「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が差し引かれますが、差し引かれるのは受け取った利子の範囲まで。額面金額そのものが減ることはないため、元本割れの心配がない点も、預金に近い感覚で使える理由です。

もう一つ、退職金のようにまとまったお金を1つの銀行に置いている場合は、預金保険の話も外せません。万一その金融機関が破綻した場合、保護されるのは1金融機関あたり元本1,000万円とその利息までです。1,500万円を1行に置いているAさんの状態は、金利の面でも保護の面でも「もったいない」置き方でした。

まとめ

「投資は怖いから何もしない」と「元本を守ったまま金利を受け取る」は、まったく別の行動です。後者を知らないまま前者を選ぶのは、選択したのではなく、選択肢を知らなかっただけかもしれません。

Aさんはその後、生活費として使う分を普通預金に残し、当面使わない分を定期預金と個人向け国債に振り分けました。「元本が減らないのは変わらないのに、利息だけ増えました」と笑っていました。まずは通帳を開いて、利息の欄を見るところから始めてみてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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