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「口座が凍結される前に…」母の葬儀代で“50万円”引き出した50代女性→後日、実家に届いた“1通の郵便”に血の気が引いたワケ

  • 2026.9.5
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで相続の相談を数多く受けてきた柴田です。

親が亡くなった直後、まず必要になるのが葬儀のお金です。「母の葬儀なんだから、母の口座から出すのが筋」。

そう考えて動いた50代のAさんが、後から冷や汗をかくことになったお話をします。

葬儀代50万円を引き出した後に、督促状が届いた

Aさん(50代女性)はお母様が亡くなった翌日、口座が凍結される前にと、葬儀代として50万円を引き出しました。

「凍結される前に下ろしておこう」という話は、ご近所や親戚の間でも常識のように語られています。悪気はなく、実際に引き出したお金はそっくり葬儀社への支払いに消えました。

異変はその後です。実家に届いた郵便物を整理していると、消費者金融からの督促状が出てきました。

調べていくと、お母様には100万円を超える借金があることが判明。「引き継ぐ資産もほとんどないし、これは相続放棄をしたほうがいい」と考えたAさんは、手続きを調べ始めて、血の気が引きました。ネットにこう書いてあったからです。「遺産を処分すると、相続を承認したとみなされ、放棄できなくなることがある」。

「単純承認」という見えない落とし穴

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

慌てて相談に来られたAさんに、制度を整理してお伝えしました。

親の遺産に借金があるとわかったら、家庭裁判所に申し立てて相続放棄ができます。期限は「自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内」です。

ただし民法には、遺産を「処分」した相続人は相続を承認したものとみなす、という定めがあります(法定単純承認)。故人の預金を引き出して使う、口座を解約する、高価な形見を売るなどの行為が「処分」にあたると、借金ごと相続を受け入れたことになり、放棄の道が閉ざされるおそれがあるのです。

では、Aさんの50万円はどうなのか。葬儀費用にあてる社会通念上相当な範囲の支出は処分にあたらない、とした裁判例はあります。ただし線引きはケースバイケースで、金額や使い道次第では危うくなります。Aさんの場合は、幸い全額が葬儀費用として領収書で説明できる状態だったため、弁護士に整理してもらったうえで、無事に相続放棄が認められました。結果は良かったものの、「知らずに動いていた」ことに変わりはありません。

放棄を考えるときに知っておきたい3つのこと

借金の可能性が少しでもあるなら、故人の口座やモノに手を付ける前に、まず財産調査を行いましょう。

借金の有無は、信用情報機関への照会でも確認できます。3か月で調べきれなければ、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てる制度もあります。ちなみに、当面の葬儀費用や生活費のためには、凍結後でも各相続人が一定額まで単独で引き出せる「預貯金の仮払い制度」が用意されています。

また、受取人が指定された死亡保険金は相続財産ではないため、相続放棄をしても受け取れます。借金を理由に諦める前に、ここは必ず確認してください。

もう一つおすすめしたいのが、放棄すべきか迷う財産構成なら、自己判断せず弁護士や司法書士に相談することです。相談費用はかかりますが、トラブルの未然に防ぐためにも、惜しむべきではありません。数万円の相談料で、数百万円の借金を背負うか否かが分かれるかもしれません。

親を見送った直後は、悲しみと手続きで判断力が落ちています。だからこそ覚えておいてほしい順番はこれだけです。「調べてから、触る」。葬儀代の工面という善意の行動が裏目に出ないように、お金を動かす前に、ひと呼吸置いて専門家に確認してください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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