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父の死後、相続放棄した50代息子→「死亡保険金1,000万円も受け取れない」と思いきや…FPから告げられた“意外な事実”に驚愕

  • 2026.9.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

相続放棄というと、「亡くなった人から受け取れるものを全部手放す制度」と考える人もいるかもしれません。たしかに、相続放棄では預貯金や不動産だけを受け取り、借金だけを断ることはできません。

一方で、生命保険の死亡保険金まで同じ扱いになるとは限らないのです。受取人に誰が指定されているかによっては、相続放棄をしても受け取れる場合があります。ただ、受け取れるからといって、税金までかからないわけでもありません。

今回は、父の死後に多額の借金が判明し、死亡保険金まで諦めようとしていた54歳男性のケースを見ていきましょう。

※事例は制度をわかりやすくするため、一部内容を調整しています。

父の死から2週間、見つかったのは1,200万円の借金

会社員のEさんは54歳。82歳だった父を亡くし、妹と一緒に遺品や通帳を整理していました。

母はすでに他界しており、父の子どもはEさんと妹の2人です。確認できた預貯金は約400万円でした。

ところが、書類を調べるうちに約1,200万円の借入れがあることが分かります。財産よりも借金の方が約800万円多い計算です。

Eさんは、「このまま相続するのは厳しい」と考え、相続放棄を検討するようになりました。相続放棄は、原則として自分に相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

そんな折、父が現役時代から加入していた生命保険の書類も見つかりました。死亡保険金は1,000万円。契約者と被保険者は父で、保険料も父が負担していました。そして、受取人にはEさんの名前が記載されていました。

Eさんは、「相続を放棄するなら、この保険金も受け取れない」と考えていました。

「相続放棄しても、保険金は別に考えます」

ここで重要になるのが、死亡保険金の受取人です。今回の契約では、Eさん自身が受取人として指定されていました。

このような死亡保険金は、原則として父の相続財産そのものではなく、受取人であるEさん自身の財産として扱われます。

そのため、FPに相談した際にも「相続放棄をしても、受取人に指定されている死亡保険金まで受け取れなくなるわけではありません」

と説明を受けたそうです。意外な話を耳にして、非常に驚いた様子のEさん。

父の借金1,200万円を引き継がない一方で、自分が受取人になっている保険金1,000万円は受け取れる可能性があるからです。その後、Eさんは父の財産と借金を確認したうえで相続放棄を申し立て、家庭裁判所に申述が受理されました。

※なお、Eさんが相続放棄をしても、妹まで自動的に相続放棄したことにはなりません。相続放棄は、それぞれの相続人が個別に行う手続きです。

受け取れる1,000万円でも「非課税」とは限らない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ここからは、相続税についても見ていきます。父が保険料を負担していた今回の死亡保険金は、相続税の計算上、相続や遺贈によって取得したものとみなされます。特に、相続放棄をしたEさんについては、税法上はこの保険金を「遺贈により取得したもの」とみなして扱います。

死亡保険金には、相続人が受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる制度があります。今回、非課税限度額を計算する際には、相続放棄がなかったものとしてEさんと妹の2人を数えます。

そのため、「500万円×2人=1,000万円」が計算上の非課税限度額です。

ただし、Eさん自身は相続放棄をしています。そのため、Eさんが受け取る死亡保険金1,000万円について、この生命保険金の非課税制度を使うことはできません。

ここは、「保険金を受け取れるか」と「その保険金に非課税制度を使えるか」を分けて考える必要があります。

非課税制度が使えなくても、相続税がかかるとは限らない

では、Eさんが受け取る1,000万円には、そのまま相続税がかかるのでしょうか。

今回のケースでは、そうとは限りません。相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があります。

法定相続人が2人なら、基礎控除は4,200万円です。今回確認できている財産は、預貯金約400万円と死亡保険金1,000万円。

合計すると約1,400万円です。ほかに相続税の対象となる財産や、計算に加える必要がある贈与などがなければ、4,200万円の基礎控除を下回るため、このケースでは相続税は発生しません。

※実際の相続では、自宅や土地、株式などがあるケースもあります。そのため、死亡保険金だけを見て税額を判断するのではなく、相続全体の財産を確認することが大切です。

また、相続放棄をしたEさんは、原則として父の借金を自分の相続税計算上の債務として差し引くこともできません。

相続放棄を考えたら「保険の受取人」も確認

相続放棄を考えると、借金の金額ばかりに目が向きやすくなります。

しかし、生命保険に加入していた場合は、「死亡保険金の受取人が誰になっているか」を確認しておきたいところです。Eさんの場合も、預貯金400万円と借金1,200万円だけを見れば、相続放棄を考えるのは自然なことでした。

ところが、死亡保険金1,000万円については、相続財産とは異なる扱いになりました。保険証券などが見つかったら、受取人だけでなく、「誰が保険料を負担していたのか」も確認しておきましょう。

相続放棄には原則3か月という期限があります。「相続放棄をするなら何も受け取れない」と決めつけず、相続財産と死亡保険金を分けて確認することが重要です。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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