1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「大学費用を準備できる」2027年開始の“こどもNISA”を予定する40代夫婦→FPに相談したところ…判明した“140万円”の大誤算

「大学費用を準備できる」2027年開始の“こどもNISA”を予定する40代夫婦→FPに相談したところ…判明した“140万円”の大誤算

  • 2026.9.4
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

令和8年度税制改正により、2027年から、0~17歳の子どももNISAのつみたて投資枠を利用できるようになります。いわゆる「こどもNISA」で、年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は購入額を基準に600万円です。

年60万円は、毎月に直すと5万円です。そのため、「上限まで積み立て、残りを少し預金すれば、大学費用を準備できる」と考える家庭もあるでしょう。

しかし、600万円は将来残ることを保証された金額ではありません。進学前に相場が下落すれば、別に預金を準備していても、100万円を超える不足が生じる可能性があります。

「月5万円なら大丈夫」40代夫婦が立てた10年計画

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

今回のケースとして、会社員の夫46歳とパート勤務の妻43歳が、7歳の娘の教育資金について相談に訪れました。

夫婦は、娘が私立大学へ進学して一人暮らしをする場合も考え、大学4年間でまず約950万円を準備したいと考えていました。

私立大学に通いながら一人暮らしをする場合、授業料や入学金だけでなく、家賃、食費、引っ越し費用なども必要です。進学先や住む地域、今後の物価上昇によっては、950万円を超える可能性もあります。

夫婦は教育資金として約160万円を預金していましたが、このお金は中学・高校の入学費用や制服代、修学旅行費、塾代などに使う予定でした。大学費用は、2027年から始まるこどもNISAを軸に準備する計画です。

予定していた積立額は毎月5万円。2027年から2036年まで、年間60万円を10年間積み立てると、購入額は600万円になります。

仮に年3%で運用できた場合、10年後の評価額は約699万円です。目標の950万円には約251万円足りませんが、その分は児童手当やボーナスから別に預金すれば届くと考えていました。

※年3%は試算上の仮定です。実際の運用結果は一定ではなく、商品の値動きや費用などによって評価額は変わります。

夫婦は、毎月5万円を続ければ、少なくとも600万円は残ると考えていました。非課税保有限度額の600万円を、将来受け取れる金額に近いものとして捉えていたのです。

ところが、値下がりした場合も試算すると、計画の見え方が変わりました。

仮に約699万円まで増えた後、大学進学前の時点で運用資産が20%下落していた場合、評価額は約559万円です。

別に準備する予定だった約251万円を加えても、合計は約810万円。目標の950万円には約140万円足りません。

夫婦は順調に増えた場合だけを見ており、進学前に値下がりしている可能性までは考えていませんでした。

怖いのは「支払う時期を選べない」こと

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

非課税保有限度額600万円は、将来受け取れる金額ではなく、商品を購入した金額を基準に管理される上限です。

600万円で購入した商品が800万円に増えれば、増えた部分も非課税で保有できます。一方、評価額が500万円に下がっても、減った100万円が補われるわけではありません。

NISAは運用益にかかる税金を抑える制度であり、元本や運用結果を保証する制度ではないからです。

また、大学の入学金や授業料、引っ越し費用は、相場が回復するまで支払いを延期しにくいお金です。

進学時に値下がりしていれば、下落した状態で商品を売却するか、預金の取り崩しや教育ローンで不足分を補う可能性があります。

夫婦が見落としていたのは、600万円という上限ではなく、「必要な時期にいくら残っているか分からない」という点でした。

教育費を「増やすお金」と「残すお金」に分ける

今回の夫婦は固定費とボーナスの使い方を見直し、10年間に教育資金へ回す総額を、当初の計画より約149万円増やしました。

毎月2万円をNISA、毎月3万円を預金に回し、ボーナスから年40万円を追加で預金します。10年間では、NISAの購入額が240万円、預金が760万円となり、拠出額は合計1,000万円です。

運用益を見込まず、進学時のNISAの評価額が購入額を20%下回る192万円になった場合、預金と合わせて約952万円となり、現時点で目標とする950万円をおおむね確保できます。

教育資金を準備するときのポイントは、次の3つです。

  • 必要になる時期が決まったお金は預金で確保する
  • 長期間使わない資金の一部をNISAで運用する
  • 進学が近づいたら、値動きと払い出し条件を確認する

未成年つみたて投資枠内の資産は、その年の3月31日に12歳である年以後、教育費や生活費に充てるため、本人の同意を示す書面を添えて親権者等が金融機関へ申し出た場合に、払い出すことができます。

こどもNISAは、教育費を準備する有効な選択肢の一つですが、「いくら増えるか」だけでなく、「進学直前に値下がりしても支払えるか」まで確認する必要があります。


※20%は将来の値下がりを予測した数字ではありません。株式を中心とした商品を選んだ場合に、家計がどの程度の下落に耐えられるかを確認するための試算です。

※今回の事例は、個人が特定されないよう年齢や家族構成、金額などの一部を変更しています。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

の記事をもっとみる

注目コンテンツ