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「早めに返した方が得」貯金350万円で“奨学金を繰上返済”しようとした20代女性、FPの指摘でハッとした“思わぬ落とし穴”

  • 2026.9.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

利子がつく奨学金なら、「お金が貯まったら早めに返した方が得」と考える人もいるでしょう。

確かに、JASSOの第二種奨学金は、途中でまとめて返す「繰上返還」をすると、その期間に対応する利子がかからなくなります。そのため、予定どおり返すより返還総額を抑えられます。

ただし、「利子が減るなら、貯金をできるだけ返還に回した方がいい」とは限りません。今回は、第二種奨学金300万円を利用し、社会人4年目で貯金350万円まで増やした20代女性の事例から、奨学金を早く返す前に考えたい「手元に残すお金」について見ていきます。

※制度を分かりやすく説明するため、事例の内容を一部調整しています。

「350万円あるなら全部返したい」社会人4年目のSさん

Sさん(仮名・26歳)は、大学時代にJASSOの第二種奨学金を利用し、貸与総額は300万円でした。

2023年春に大学を卒業して就職。実家で暮らしていたこともあり、給与から毎月貯金を続け、2026年、社会人4年目には預金が約350万円まで増えていました。

そこでSさんが考えたのが、奨学金の一括返還です。

「350万円まで貯まったので、奨学金を全部返そうと思っています。利子がつくなら、早く返した方が得ですよね」

Sさんが2023年3月に貸与を終え、利率固定方式を選んでいた場合、基本月額にかかる利率は年0.905%です。

貸与総額300万円を月賦返還で204回、17年間かけて完済するケースとして概算すると、据置期間の利息も含めた返還総額は約325万円になります。

つまり、借りた300万円に対して、最終的には約25万円多く返す計算です。

約3年返しても、まだ約250万円残っていた

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

2023年3月に貸与が終了した場合、返還は同年10月から始まります。Sさんは2026年の時点で、約3年間返還を続けていました。

実際の残高は返還条件などによって異なりますが、今回残っている元金はおよそ250万円です。このまま予定どおり返し続ければ、今後も十数万円程度の利子負担が見込まれます。

第二種奨学金は、残っている分をすべて返すだけでなく、一部だけ先に返すこともできます。繰上返還した期間に対応する利子はかからないため、予定どおり返す場合より最終的な負担を減らせます。

ここだけを見ると、Sさんの「全部返した方が得」という考えは間違っていません。

しかし、FPとの相談で確認したのは別の数字でした。

「全部返したあと、手元にはいくら残りますか?」

残元金など約250万円をまとめて返すと、350万円あった預金は100万円前後まで減ります。Sさんは近いうちに一人暮らしも考えていました。引っ越し代や住まいの初期費用、家具や家電をそろえると、まとまったお金が必要になります。

さらに、病気やけが、転職などで一時的に収入が減る可能性もあります。Sさんはそこで初めて、「いくら返せるか」だけでなく、「返したあとにいくら残るか」も考える必要があると気づきました。

十数万円の利子を減らすために、250万円を出して大丈夫?

第二種奨学金を繰上返還するか迷ったときは、「利子が減る」という部分だけで判断しないことが大切です。今回のSさんの場合、今後の利子負担を十数万円程度減らせる可能性がある一方で、手元から約250万円を出すことになります。

もちろん、「借入を早くなくしたい」という考え方もあります。

ただ、その結果として預金が100万円前後まで減り、その直後に引っ越しや大きな出費が重なれば、手元のお金が足りなくなる可能性があります。

そうなってから別の借入に頼れば、奨学金の利子を減らした一方で、別の負担が増えることにもなりかねません。そのため、「全部返すか、そのまま返すか」の二択で考える必要はありません。

生活費や近いうちに使う予定のお金を残し、そのうえで余裕のある分だけ一部を繰上返還する方法もあります。

第一種なら、早く返しても「利子分がお得」にはならない

第一種奨学金と第二種奨学金では、繰上返還を考えるポイントも異なります。第一種奨学金は無利子です。一方、第二種奨学金には利子があります。

そのため、第二種は繰上返還によって将来の利子負担を減らせますが、第一種にはそもそも通常の利子がありません。

第一種を早く返すこと自体が悪いわけではありません。「毎月の返還を早く終わらせたい」「借入残高をなくしたい」と考えるなら、選択肢の一つです。

ただし、奨学金をまとめて返す前に、「返したあとも生活費を十分に残せるか」「近いうちに大きな支出はないか」まで確認しましょう。

奨学金を早く減らすことも大切ですが、これからの生活に必要なお金を残しておくことも同じくらい重要です。「返せるから全部返す」ではなく、「いくらなら返しても生活に困らないか」まで考えることが、繰上返還を判断するポイントになります。

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