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「子供の顔に当たったらどうするの!?」電車を待つ列のそばで素振りを続けた男。だが、駅員の一言で態度が一変

  • 2026.8.21
「子供の顔に当たったらどうするの!?」電車を待つ列のそばで素振りを続けた男。だが、駅員の一言で態度が一変

雨上がりのホームで、傘が弧を描いた

仕事帰り、私はいつもの乗車位置に並んでいた。

雨は上がったばかりで、ホームの床はまだ濡れて光っている。

私のいくつか前、列の先頭には小さな子どもを連れた母親が立っていた。

「こっち、ママの前にいてね」

ふと視界の端で、何かが揺れた。

列から少し離れたところにいた男性が、閉じた傘を両手で握り、ゴルフのスイングのように振っていたのだ。

本人はきっと、ほんの小さな素振りのつもりなのだと思う。

表情は穏やかで、誰かを威嚇しているわけでもない。待ち時間の手持ち無沙汰を、体でほどいているだけに見えた。

けれど傘の先は、振っている本人が思うよりずっと遠くまで届く。男性が少し踏み出せば、その軌道は列の先頭に立つ子どもの顔の高さだった。

「かさ、ぶんぶんしてる」

子どもがそちらを指さす。母親が手を引き寄せた瞬間、傘の先が空を切る音がして、私は思わず息をのんだ。

(子供の顔に当たったらどうするの!?)

当たってからでは遅い、と背中が冷たくなった。

見回りに来た駅員が、静かに近づいた

声をかけようかと何度も思った。

けれど、見知らぬ中年の男性に注意をするのは、正直に言えば怖い。

逆上されたら、この列の前で騒ぎになる。周りの人も気づいてはいるようで、ちらちらと視線を送るだけで誰も動かなかった。

そのとき、ホームの端から駅員が歩いてきた。列の並び方を確かめながら、いつもの見回りをしている様子だった。

傘の動きに気づくと、歩調を変えずにまっすぐ男性のそばへ向かう。そして斜め前に立ち、声を張らずに言った。

「傘を振らないでください、危ないですよ」

責める調子はまるでなかった。ただ事実だけを短く伝える言い方だった。

男性の手が止まる。視線が列の先頭へ落ち、そこに立つ小さな背中を見つけた瞬間、顔つきが変わった。

「…ああ。すみません」

傘はすぐに下ろされ、先端は床についた。男性はばつが悪そうに頭を下げると、列の最後尾に並び直した。

「ご協力ありがとうございます」

駅員はそれだけ言って、また列に沿って歩いていった。母親が小さく会釈をし、駅員も会釈を返す。

「まもなく電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください」

やがて電車が入ってきた。誰も怪我をせず、誰も声を荒らげず、私たちは何事もなかったように乗り込んだ。

ドアが閉まる前、男性が傘を縦に持ち直しているのが見えた。あの一言があるかないかで、ホームの空気はこんなにも変わるのだと思った。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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