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「全部任せるね」と言った友人は、旅先で一度もカメラを取り出しませんでした

  • 2026.8.20
ハウコレ

駅で渡した手作りのしおりを、友人は特急が動き出す前に鞄へしまいました。

予約した釜めしの店でも、友人はメニューに迷いもしませんでした。注文を終えた甘味の席で、旅の間ずっと聞けずにいたことを、思い切って確かめることにしました。

「全部任せるね」から始まった旅

去年、転勤で遠くの街へ引っ越した友人と、2人で出かけるのは初めてでした。日帰りの旅行を提案すると、メッセージで「全部任せるね」と返ってきました。庭園に釜めしの店、友人の好きな和菓子屋まで調べて、分刻みの旅程をしおりに書き込みました。

「同じでいいよ」と合わせる友人

見頃の庭園でも、友人はカメラを一度も取り出さず、時々、腕時計に目をやっていました。予約した釜めしの店でも、迷う様子を見せずに、「同じでいいよ」と私に合わせました。楽しみにしていたのは私だけだったのかもしれません。この後の行程を減らすかどうか、頭の中で組み替えてばかりいました。

あんみつが届くまで

あんみつを頼んだ後、私たちの席だけが取り残されたようでした。「今日、あんまり楽しめてない?」友人はスプーンの袋を指先でそろえてから、言いました。「ごめん。せっかく調べてくれたのに、私、話す時間が一番ほしかったんだと思う」。続けて、「しおりまで作ってもらったのに、言ったら悪い気がして」と話しました。分刻みの旅程を組んだのは、会話が途切れるのが怖かった私の方だったのです。

そして...

帰りの特急では、行きとは別人のように会話が続きました。窓の外が暗くなり始めた頃、友人はしおりの最後の白いページを見せて言いました。「次の行き先は、私が考えてもいい?」次のしおりは、2人で作るものになりそうです。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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