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地震で命を守るために知っておきたいこと「避難場所と避難所の違い」「緊急交通路」「備蓄の基本」

  • 2026.8.18

地震で命を守るために知っておきたいこと「避難場所と避難所の違い」「緊急交通路」「備蓄の基本」

地震多発国・日本。地震が起きた場合に備えて覚えておきたいこととは? ジャーナリスト・池上彰さんの書籍『池上彰の未来予測 After 2040』より一部を抜粋し、お届けします。

鉄道や道路は地震を想定した対策が進んでいる

そもそも地震が多い国である日本の鉄道は、迂回路も想定して整備されてきました。東海道新幹線の東京―大阪間の迂回路は、北陸新幹線になります。東京発の北陸新幹線は、2024年3月に金沢(石川県)から敦賀(福井県)まで延伸されました。その先をJR北陸本線で米原(滋賀県)まで、東海道・山陽本線で大阪までと乗り継いで行けばいいというわけです。

1923年9月に関東大震災が起きた際には、当時の国鉄の東海道線や中央線が不通になりました。東京から関西方面に避難をする人たちは、日暮里や田端(東京都)、あるいは大宮(埼玉県)から信越線で軽井沢を通って篠ノ井(長野県)まで行き、篠ノ井線に乗り換えて塩尻に行き、そこから中央線で名古屋や大阪に向かいました。

地震などの大災害が起きた際、道路に関しては、全国で「緊急輸送道路」や「緊急交通路」が設定されています。緊急輸送道路は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、被災者の避難や、救急活動人員や物資などの緊急輸送を円滑に行うための基幹道路です。

そして「緊急交通路」とは、災害発生時から応急対策が円滑に行われるようにするため、高速道路や国道などの幹線道路で一般車両の通行を禁止するものです。東京都の場合、なまずのイラストとともに「緊急交通路」と書いた大きな標識が、幹線道路のあちこちに設置されています。

あるテレビ番組で、若いタレントたちにこの標識が何かという問題を出したら、誰も正解できませんでした。なまずだということも、なまずと地震がなぜ結び付いているのかも全然理解されなかったものです。普段から、「この道路は災害時には車で通れないんだな」などとみんなで意識しておくことが大切です。

「避難場所」と「避難所」の違いとは?

行政は、地震が起きた際のさまざまな対策を日頃から進めています。東京都の場合は、首都直下地震で大勢の犠牲者が出たら遺体の埋葬が間に合わない、そのときは皇居東御苑や日比谷公園、代々木公園を仮埋葬所としてとりあえず遺体を土葬する、といった計画も立てています。

被災したときに避難する場所に関しては、自宅の周り、会社や学校の周りなど、曜日や186時間帯に応じた避難場所を一人ひとりが確認しておきましょう。

避難場所と避難所は、似ているようでまったく違います。「避難場所」は大きな地震などがあった場合にとりあえず逃げる場所で、学校の運動場や公園などが指定されています。人が地面の円の中に向かって走ってきているようなピクトグラム(案内用図記号)の看板になっているように、避難場所は屋根のないところになっています。

一方「避難所」は、学校の体育館など、被災者が何日も暮らさなければいけないようなところを指します。ピクトグラムも、屋根のある建物に人が駆け込むような表現になっています。

コンビニエンスストアにも、「災害時帰宅支援ステーション」と書いてあるハートのマークのステッカーが掲示してある店があります。地震などの大規模災害が起きて交通機関が途絶えた際、「帰宅困難者」となった人々を支援する店で、水道水の提供、トイレの提供、ラジオなどで知り得た情報の提供の3つを行うと決めています。

自動販売機も、災害支援型のものであれば、災害時に無料で飲料を取り出して飲めるようになっています。

自宅での備蓄も大事!

こうした非常時に必要な情報を知っておくことに加えて、やはり自宅には災害対策グッズを備えておくべきでしょう。

私は災害に備えて、「ローリングストック」方式での備蓄をしています。備蓄用に用意した水や食料を、消費期限が切れそうな順番に消費しつつ、随時新しいものを補充していくということです。特に日本で大地震が起こった日である、1月17日、3月11日、9月1日の3つの日には点検し、消費期限が切れそうなものはそのときに食べたり飲んだりして、新しいものを補充しています。

東京都はいざ大地震が起きたときのために、水と食料を3日分、可能であれば1週間分は用意しておくようにと呼びかけています。たとえば首都直下地震が起きた場合、東京都がいくら迅速に救援に乗り出しても、3日間は手が届かないところがたくさんあります。そのため3日間は自分で自分の身を守ってくださいということです。

家だけではなく、会社や学校で被災する可能性も高いことから、企業や学校には社員や学生のための水や食料の備蓄が義務づけられています。企業や学校にいる際に大地震に遭ったときは、その施設で安全にとどまることが基本となります。大地震が発生した後の72時間(3日間)は、救命救助活動を通じて1人でも多くの命を救うことが最優先となります。大渋滞により救急車等が到着できないといった状況を防ぐため、帰宅困難者の一斉帰宅を抑制しなければならないということです。

移動中など屋外で被災した帰宅困難者については、「一時滞在施設」で待機してもらうこととなります。大型ビルは、付近で被災した人たちに配るための水や食料などを備蓄しています。たとえば六本木ヒルズは地下に巨大な倉庫があって、約10万食の食料や毛布、簡易トイレ、紙おむつなどが備蓄されています。災害時に周辺にいた人たちが逃げ込めば、これらが提供されます。

私が教えている東京工業大学も同様で、備蓄している大量の食品の消費期限が近づいてくると、新しい食品に入れ替えるために、消費期限の近づいたものを学生たちに無料で配布しています。

※この記事は『池上彰の未来予測 After 2040』池上彰 著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

※2024年10月27日に配信した記事を再編集しています。

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