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マリー・アントワネットは、どんな空間で暮らしていた?ヴェルサイユ宮殿で巡る、王妃のインテリア

  • 2026.8.13
©THOMAS GARNIER

「横浜美術館」で開催中の展覧会『マリー・アントワネット・スタイル』に合わせ、マリー・アントワネットが実際に暮らした「ヴェルサイユ宮殿」を巡りながら、王妃のライフスタイルを形づくったインテリアやデザインを紹介。寝室やサロン、プチ・トリアノン、王妃の村里など、それぞれの空間に見られるロココ様式や家具、装飾の魅力を知れば、展覧会はさらに深く楽しめるはず。

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『マリー・アントワネット・スタイル』──王妃の愛蔵品も要注目の世界巡回展

ファッションのみならずインテリアや音楽、ライフスタイルに至るまで、あらゆる点で時代をリードし、世紀のアイコンとなったルイ16世王妃マリー・アントワネット(1755-1793)。装飾芸術のコレクションで世界屈指の規模を誇るロンドンの「ヴィクトリア&アルバート博物館」が企画した『マリー・アントワネット・スタイル』(〜11/23)は、その革新性や人物像、そして現代にまで影響をおよぼす「スタイル」の魅力に迫る展覧会だ。

<写真>ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)の展示風景 ©Victoria and Albert Museum, London

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ドレスやジュエリー、家具、工芸品、肖像画など、日本初公開を含む約200点が出品されており、王妃の旧蔵品やゆかりの品も観ることができる。そして、随所に彼女の意向が反映されているという「ヴェルサイユ宮殿」は、本展の展示品たちとその背景を共有していると言えるだろう。王妃がこだわり、実際に暮らした空間とはどのようなものだったのだろうか?

<写真>マリー・アントワネットの肘かけ椅子(4点組の1点) ジャン゠バティスト゠クロード・スネ 1788年 クルミ、綿布に絹の刺繍(近年の上張り) 97.5×63.5×63cm ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London

©THOMAS GARNIER

王妃の寝室

一日が始まる、最も重要な空間

歴代の王妃たちにとってもっとも重要だった「王妃の寝室」から見ていこう。ここは単なる就寝の場ではなく、起床や着替えの儀式にはじまり、賓客の接見にいたるまで、大半の公務と儀礼が執り行われた部屋、いわば王妃という立場を体現する舞台装置のような空間だった。

©THOMAS GARNIER

ルイ15世の時代にロココ様式に整えられたが、壁やアルコーブを覆う可憐な花柄の織物をはじめ、ベッドを囲む手すり、椅子、ブロンズ装飾が施された暖炉やその付属品は、マリー・アントワネットの意向によって改装されたものだという。

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王妃の内殿

隠し扉の奥に広がるプライベート空間

寝室の奥に隠された扉の先には、王妃の私的な小部屋群「内殿」が広がる。「ヴェルサイユ宮殿」の内装は、ポンペイ遺跡等の発掘に触発された古代趣味の広がりを背景に、曲線を多用したロココ様式から、直線と対称性を重んじる新古典様式(ルイ16世様式とも呼ばれる)へと移っていくが、「内殿」にもその変遷を見てとることができる。

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その中心をなすのが「黄金の間」だ。マリー・アントワネットがスフィンクスと古代風トライポッドを彫刻した金彩のボワズリー(木製パネル)によって全面的に改装させたことから、この名で呼ばれるようになったという。「ヴェルサイユ宮殿」の中でも新古典主義の到達点に数えられる本室には、家具職人ジャン=アンリ・リズネールによる家具など、アントワネットの趣味が色濃く表れた品々が置かれていた。

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「メリディエンヌの間」は、名前の由来である昼寝のためのソファを中心にまとめられた八角形の小部屋。ボワズリーの間に鏡を配置して開放感を生む工夫がなされ、また光沢ある絹織物のソファカバーやカーテンには、アントワネットの好んだパステル調の色彩が使われている。

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鏡の回廊

社交とロココ様式が花開いた部屋

ヴェルサイユ宮殿」を象徴する部屋といえば、「鏡の回廊」だろう。社交と儀礼の中心を担う場であり、ルイ16世とマリー・アントワネットの婚礼が行われたのもこの回廊だった。全長約73mある空間には17個のアーチ型窓と357枚の鏡が対称に配されている。窓から差し込む光が鏡に反射して金彩装飾とともに輝く仕掛けは、バロックとロココが交差する宮廷美学の集大成と言えるだろう。

©THOMAS GARNIER

プチ・トリアノン

王妃が求めたプライベートな暮らし

「ヴェルサイユ宮殿」の敷地内には、王妃が儀礼から解放されて過ごす隠れ家となった古代ギリシャ風の小宮殿「プチ・トリアノン」が建つ。そのリラックスした雰囲気の空間で目を引くのが、マリー・アントワネット好みの田舎風装飾を取り入れた“麦穂の家具”だ。新古典主義を代表する家具職人ジョルジュ・ジャコブの最高傑作と評され、麦の穂やスズラン、松かさなどをモチーフにした繊細な彫刻が施されている。

©THOMAS GARNIER

王妃の村里(アモー)

自然への憧れが生んだ理想の暮らし

プチ・トリアノンの奥に位置する「王妃の村里」は、マリー・アントワネット自らの発案で築かせた唯一の空間で、茅葺き屋根のノルマンディー風田舎家などが擬似農村を形成している。ジャン=ジャック・ルソーの「自然に帰れ」という思想に感銘を受けた王妃が、儀礼に縛られた宮廷生活からの逃避を、建築という形で具現化した試みであったと言われる。

©VICTORIA AND ALBERT MUSEUM, LONDON

マリー・アントワネットが生きた時や場所へと誘う、「ヴェルサイユ宮殿」のゆかりの部屋や建築たち。その空間を知れば、『マリー・アントワネット・スタイル』の展示品のひとつひとつ−−彼女が愛し、もしくはインスパイアされて生み出された家具や工芸品、ファッション等々−−が実際に使われている場面を私たちに想起させ、より立体的な鑑賞体験に導いてくれるだろう。

<写真>コートドレスのマリー・アントワネット フランソワ=ユベール・ドルーエ 1773年 油彩、カンヴァス 63.5×52cm ヴィクトリア&アルバート博物館蔵 ©Victoria and Albert Museum, London

『マリー・アントワネット・スタイル』
会期/〜2026年11月23日(月・祝)
会場/横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
開館時間/10:00〜18:00(11月21日・22日は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日/木曜日(8月13日、9月24日、11月19日は開館



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