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おしゃれの初手は「眼福シューズ」 デコラティブな足もとが返り咲く【2026秋冬トレンド】

  • 2026.8.12
Getty Images

ファッションが持つ最大の魔法は、いつだって私たちを別世界へと連れ出してくれること。ジョン・ガリアーノ時代の「ディオール」のランウェイが、まるでファンタジーの世界に足を踏み入れたかのような感覚をもたらしたように、マチュー・ブレイジーも今、「シャネル」で夢のような世界を創り出している。しかし最近のコレクションが証明したのは、日常から抜け出すために大げさなワードローブは必要ないということ。時には、類まれな美しいシューズが一足あれば十分なのだ。

先日の2026年秋冬オートクチュールコレクションで、そのメッセージは明確に打ち出された。ブレイジーは、「ジャックと豆の木」をテーマにした「シャネル」のプレゼンテーションにおけるおとぎ話のファンタジーをシューズにも落とし込み、まるで絵本のページから飛び出してきたかのような世界観を表現。軽やかなシルクモスリンのツイードスカートや、不ぞろいなネックレスを合わせたリトルブラックドレスには、同じく遊び心あふれるシューズが添えられた。

「シャネル」2026年秋冬オートクチュールコレクション Getty Images

ヒールにパールをあしらった豆の若芽や黄金の卵を仕込んだシューズもあれば、エナメルの蝶、ミニチュアのフィギュア、花びらで飾られたデザインも。さらに、シアーなトゥキャップに、ランウェイの装いを模した絡み合うビーズをあしらったピースも登場した。

「ディオール」のジョナサン・アンダーソンもまた、タッセルや装飾、メタリックなリボンをふんだんにあしらったポインテッドトゥやスクエアトゥのパンプスで、このアイデアを探求した。さらに、彼自身のデザインに見られるフローラルテーマを引き継ぎ、チュイルリー庭園から摘み取っ手きたかのような植物をあしらった、絶妙なカラーのヒールを発表している。

「ディオール」2026年秋冬オートクチュールコレクション Getty Images

「シューズには、他のほとんどのファッションアイテムにはない、コレクター心をくすぐる要素があります」と語るのは、「モダ・オペランディ」のノンアパレル部門ヴァイス・プレジデントであるライアン・クレマン。「1年の日数よりも多くの靴を持っているという話は珍しくありません。実際、トップクライアントたちは、歩くためのものではなく、単にコレクションに加えるためだけにシューズを定期的に購入しています」

「ドリス ヴァン ノッテン」2026年春夏コレクション Getty Images

もちろん、ステートメントシューズは決して真新しいものではない。白Tシャツにデニムといったシンプルなコーディネートを格上げする、最も確実な方法のひとつだ。しかし、昨今のアイテムがこれまでのものと一線を画すのは、履く者をまったく別の宇宙へと連れ出してくれるその力にある。「シャネル」や「ディオール」では、お行儀の良いレディライクなパンプスが、立体的でいたずら心のある仕上がりに再構築されている。そして「ドリス ヴァン ノッテン」では、ジュリアン・クロスナーによるマキシマムなプリントが、スパンコールやクリスタルをちりばめたシューズでさらにワイルドな魅力を放っている。

「ヴァレンティノ」2026年秋冬コレクション Getty Images

「最近のファッション全般において、より楽しさや鮮やかなカラーが見られるようになっていますが、シューズはその完璧なエントリーアイテムです」と、ニューヨークを拠点とするファッションクリエイター兼コンサルタントのソフィー・コーエンは指摘する。「奇抜すぎるものを身につけていると感じることなく、気軽におしゃれの楽しさに投資できる方法なのです」と彼女は加え、こう語る。「シューズは純粋に喜びをもたらしてくれるものだと思います。そしてそれこそが、今の時代に人々がファッションに求めているものなのです」

「シャネル」2026年秋冬オートクチュールコレクション Getty Images

気候変動への不安やカルチャーの混沌(こんとん)を背景に抱える現代社会。時には、気分を盛り上げてくれるとっておきのアイテムが、私たちの日常に大きな力を与えてくれるのかもしれない。

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