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「何やってもうまくいかんわ」仕事帰りの疲れた男性。だが、店員との何気ない会話に救われたワケ

  • 2026.8.12
「何やってもうまくいかんわ」仕事帰りの疲れた男性。だが、店員との何気ない会話に救われたワケ

いつもより疲れて見えた男性

学生時代、私はファミリーレストランでアルバイトをしていました。

ある平日の夕方、一人の男性が店に入ってきました。40代くらいで、仕事帰りらしいスーツ姿。ネクタイは少しゆるみ、席に着くと深いため息をついていました。

注文を伺うと、男性はメニューをしばらく眺めたあと、簡単な食事とコーヒーを頼みました。

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

私はいつも通りそう声をかけ、厨房へ戻りました。

しばらくして料理を運ぶと、男性は小さく頭を下げました。ところが、食べ始めて間もなく、手が当たったのかテーブルのフォークを床に落としてしまったのです。

カラン、と音がして、男性は慌てて身をかがめました。

「ああ、すみません。今日はもう、何やってもうまくいかんわ」

それまでほとんど話さなかった男性が、困ったように笑いました。

私は新しいフォークを持ってきて、落ちたものを片づけながら答えました。

「大丈夫ですよ。そういう日もありますよね」

そして、深く考えずにこう続けました。

「せっかく来てくださったので、ここではゆっくりしてください」

男性は一瞬きょとんとしたあと、「そやな」と小さく笑いました。

少しずつ変わった表情

その後、私はほかのお客様の対応に追われ、男性と長く話すことはありませんでした。

コーヒーのおかわりを持っていったときには、「ありがとう」と先ほどより明るい声が返ってきました。

食事を終えるころには、入店したときの張りつめたような表情も少しやわらいでいました。

それからしばらくして、男性がレジへやってきました。

私が会計を済ませ、「ありがとうございました」と伝えると、男性は財布をしまいながら少し立ち止まりました。

「今日な、仕事で失敗して、上司にも怒られて。帰ってもずっと引きずるんやろなと思ってたんよ」

突然の話に、私は黙って男性の顔を見ました。

すると男性は少し照れたように笑いました。

「でも、さっき『そういう日もある』って言ってくれたやろ。あれで、ちょっと楽になったわ」

私は励ましたつもりも、立派なことを言ったつもりもありませんでした。

ただ、フォークを落として申し訳なさそうにしていた男性に、気にしなくていいと伝えただけでした。

「ここ来たら、ちょっと元気出たわ。ありがとう」

そう言って男性は店を出ていきました。

忙しいアルバイトの中では、お客様とのやり取りはほんの数十秒で終わることもあります。それでも、何気なくかけた言葉が、その人にとっては必要な一言になることもある。

あの日の男性の笑顔を見るたび、接客の仕事にはそんな瞬間もあるのだと感じました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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