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得意げにエアコンを切っていた俺が、彼女に打ち明けられなかったこと

  • 2026.8.11
ハウコレ

「慣れれば平気だって」と笑ってみせるたび、彼女の返事は短くなっていきました。あの通知が全部を明かした後、俺が最初に口にした言葉があります。

帰宅した俺は、汗だくの彼女に声をかけるより先に、壁のエアコンの電源ランプを確かめていました。

言えないまま貼った張り紙

同棲して1年になる彼女に、先月から残業がなくなったことを言い出せずにいました。給与明細を開くたび、家に入れる金額の計算が合わなくなります。それでも俺は「今月から本気で節約する」と宣言し、前向きな挑戦のように振る舞いました。「使用禁止」と書いた張り紙を壁のエアコンに貼ったのも俺です。彼女がスイッチに手を伸ばすたび、「エアコン代もったいない」と取り上げて電源を切りました。減った分をどこで埋めるか、頭の中はそればかりでした。

短くなっていく返事

彼女は文句を言いませんでした。凍らせた保冷剤を首に当てて、扇風機の前から動かない背中を、俺は見ないふりをしていました。日中の俺は冷房の効いた事務所にいて、家でだけ平気な顔をしていたのです。「今月まだ一度もつけてないよ」と言われた日、俺は「慣れれば平気だって」と笑ってみせました。「じゃあ請求、楽しみにしてるね」と応じた彼女の一言で、家計アプリの通知日が近いことを思い出しました。それからは、カレンダーを開いては残りの日数を数えていました。

逃げられなかった通知

食器を下げたテーブルで、スマホが2つ同時に鳴りました。俺は自分のスマホを裏返しました。画面を見なくても、中身はわかっています。入金額が半分になったことを、数字が先に白状してしまったのです。俺は観念して切り出しました。「残業がなくなって、給料も減ってた。ずっと言えなかった」。彼女は怒鳴りませんでした。「暑いのは我慢できるよ。隠されてるほうが、ずっときつい」。その返事で、「使用禁止」と書いたときの自分の字を思い出しました。「ごめん」と頭を下げました。守りたかったのは家計より、頼りない自分を見せたくない見栄でした。

そして...

あの紙はもう剥がしました。設定温度も入金額も、隠さずに2人で決めるようになりました。節約が下手だったとは思いません。下手だったのは、頼り方のほうでした。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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