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花火大会で場所を奪った私たち、5分後に周りの視線が変わった理由

  • 2026.8.11
ハウコレ

先に敷いてあったレジャーシートを畳んで通路の脇に置き、私は土手の下にいる家族へ大きく手を振りました。家族を呼んだ直後、隣で三脚を組んでいた男性がこちらへ歩いてきました。

出遅れた場所取り

支度に手間取って、家を出るのが例年より遅くなりました。着いたころには土手はシートで埋まっていて、子どもたちの足取りも重くなっていきます。そんなとき、一番見やすい一角に、人のいないシートを見つけました。置いてあるのは保冷バッグとタオルだけ。「もう戻ってこないかもしれない」そう自分に言い聞かせて、畳んだシートの上に、持ち主の保冷バッグとタオルを重ねて置きました。

戻ってきた持ち主

夫は何も聞かずに荷物を広げ、子どもたちはお菓子の袋を開けました。誰も、シートのことには触れません。数分して、女性が夫と小さな娘を連れて戻ってきました。「ここ、シートを敷いていたんですが」と言われた時、「来たときには何もありませんでしたけど」と、私は即座に返しました。相手の夫が、脇に寄せたシートを指さします。「知りません。落ちてたんじゃないですか」引き返せる場面は何度もあったのに、私は声を張って笑いました。「証拠ある?」自分の声が、思っていたより大きく響きました。

映っていたもの

そのやりとりの途中で、隣でスマホを三脚に載せていた若い男性が腰を上げました。「映ってますよ。シートを畳むところから、全部」男性がスマホの画面をこちらに向けます。そこには、四隅の石をどかしていく自分の手が映っていました。画面の隅では、知らない人たちの言葉が絶え間なく流れています。配信、という一言の意味がつながった途端、周りのシートから視線が集まっているのがわかりました。夫は「おい、もう行くぞ」と、荷物を持って先に立ち上がりました。

そして...

帰りの車の中で、娘に「なんで嘘ついたの」と聞かれました。信号待ちの間、ハンドルを握り直してから、「お母さんが悪かった」とだけ答えました。花火の音は、河川敷を離れてもしばらく追いかけてきました。今度は誰よりも早く家を出て、端のほうでいいから、自分たちで取った場所に座ろうと思っています。

(40代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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