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「換気扇は毎日回して」細かい注文が多い大家→古いファイルで知った理由

  • 2026.8.11
ハウコレ

意を決して母屋を訪ねた私に、大家さんは1冊の古いファイルを開いて見せました。細かい注文ばかりの人だと思っていた私は、そこで初めて理由を知りました。

番号つきの7つの注文

2年ごとの更新は、今回で2回目です。契約書のほかに入っていた便箋には、注文が並んでいました。換気扇は毎日回すこと。ベランダの排水口は月に1回掃除すること。浴室の窓は開けたままにしないこと。文字は丁寧でしたが、7つ目まで読み終えたところで、私は便箋を封筒に戻しました。前回の更新のときも似た紙が入っていて、この部屋での暮らし方を疑われているような気がしてきました。

世間話のない訪問

数日後、大家さんが部屋を訪ねてきました。書類の確認だろうと玄関を開けると、大家さんの視線は、私の後ろの浴室のほうへ向いていました。

「換気扇は、回しっぱなしにしてもらえてますか」

「はい、だいたいは」

「ベランダの排水口も、月に1度は見てくださいね」

世間話は1つもないまま、頭を下げて帰っていきます。ドアを閉めると、便箋の番号とさっきの視線が、頭の中で重なりました。

断る前に聞きたかったこと

その週のうちに、私は賃貸情報のサイトで近くの物件を眺めるようになっていました。家賃も間取りも、今の部屋より条件は落ちます。それでも、更新のたびに注文が増えていく暮らしを続ける自分が、うまく想像できませんでした。迷った末に、記入した更新の書類を持って母屋を訪ねることにしました。出ていくにしても住み続けるにしても、理由を聞いてからにしたかったのです。

「私、何かご迷惑をかけてますか」

玄関先でそう聞くと、大家さんは間を置いてから、居間に上がるように言いました。

そして...

居間の棚から、大家さんはファイルを出してきました。綴られていたのは、黒ずんだ壁の写真と、修繕の見積もりでした。3年前に1階の人が退去したあとの部屋だそうです。

「前の方のとき、私が何も言わなかったから」

換気扇も排水口も、便箋の注文は全部、この写真につながっていたのです。

「長く住んでほしい部屋にしか、言いません」

帰り際、私はその場で書類に署名して渡しました。物件のサイトを開くことは、それきりありませんでした。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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