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「長く住んでほしい部屋にしか、言いません」便箋に注文を書き続けた私の本心

  • 2026.8.12
ハウコレ

玄関先で「私、何かご迷惑をかけてますか」と聞かれ、私はまず居間に上がってもらいました。あの便箋に書けなかったことを、話すときが来たのだと思いました。

外階段の掃除の途中で、2階の角部屋の換気扇が今日も止まっているのに気づきました。

7つ目まで書いた便箋

角部屋の人が入って、もうすぐ4年になります。ごみの出し方は正確で、家賃が遅れたことも一度もありません。できれば長く住んでほしい人です。それなのに私は、顔を合わせてもうまく話せず、回覧板を渡すときも用件だけで終わってしまいます。だから更新のたびに、伝えたいことを便箋に書いて、契約書と一緒に封筒へ入れてきました。今回は7つ。多すぎるだろうかと迷い、それでも1階の部屋のことを思い出して、全部残しました。

玄関先での短いやりとり

更新の封筒を郵便受けへ入れてから数日、換気扇の音が聞こえない日が続きました。回っていれば、外階段の下からでもわかります。思い切って、私は角部屋を訪ねました。

「換気扇は、回しっぱなしにしてもらえてますか」

「はい、だいたいは」

「ベランダの排水口も、月に1度は見てくださいね」

言いながら、廊下の壁と天井の隅を確かめました。結露の染みは出ていません。ほっとした半面、玄関に立つ角部屋の人の返事が、だんだん短くなっていくのもわかりました。

1階の部屋のこと

1階が空いたのは3年前です。退去のあとに部屋へ入ると、押し入れの奥の壁が黒く変わっていて、修繕には家賃の何か月分もかかりました。住んでいた方は何も言わず、私も何も聞きませんでした。換気と掃除のお願いを一度でもしていれば、と今でも思います。更新の封筒に便箋を入れるようになったのは、それからです。数日後、角部屋の人が更新の書類を持って母屋に来ました。

「私、何かご迷惑をかけてますか」

その一言で、あの便箋がどのように解釈されているかを感じました。

そして...

居間に上がってもらい、棚からファイルを出しました。1階の部屋の写真と、あのときの見積もりです。

「前の方のとき、私が何も言わなかったから」

それだけ口にして、あとは写真に説明を任せました。角部屋の人は、番号を1つずつたどるような目で、ページをめくっていきます。

「長く住んでほしい部屋にしか、言いません」

帰り際、角部屋の人はその場で書類に署名して、渡してくれました。サンダルをつっかけて、外階段の下まで送りに出ました。次の便箋は、少し長くなりそうです。書き方がうまくなるかは、わかりませんが。

(60代女性・アパート経営)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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