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お金も時間もかけなくてもできる、小さな幸せ習慣「ご自愛」。毎日をごきげんに過ごせるヒントが詰まったコミックエッセイ【書評】

  • 2026.8.8

【漫画】本編を読む

『今日もご自愛をひとさじ。』(utaco/KADOKAWA)は、「自分を大切にすること」をテーマにしたコミックエッセイ。「ご自愛」と聞くと、長めの休暇や贅沢することなどを思い浮かべるかもしれない。しかしここに描かれているご自愛は、身近なものから小さな幸せを積み重ねていくことだ。

本作は、作家とイラストレーターとして活動するutaco氏の穏やかに、ごきげんにするためのヒントの数々が詰め込まれている。昼近くまで寝て起きた日の朝食は、お気に入りのアールグレイとバターシュガートーストを。深夜、いけないこととは知りつつラーメン店に行き、期間限定メニューにチャレンジ。そんな特別ではない時間が少しずつ心を整えてくれることを伝えてくれるのだ。忙しい毎日のなかで、つい後回しにしがちな「自分をいたわる時間」が、やわらかなタッチのイラストとともに綴られている。

印象的なのは、背伸びせずに、今すぐできることなどで自分自身の機嫌を良くしていくというアプローチである。無理に前向きになろうと鼓舞するのではなく、自分が少しでも心地よく過ごせる方法を見つけていく。それが妙にゆるくて心地よく、「私もやってみよう」と思わせてくれるのが本作の大きな魅力になっている。

それにしても、季節の移ろいや日々の暮らし、人とのささやかなやり取りのなかには、自分をごきげんにしてくれる瞬間がたくさんあることに気づかされる。忙しい生活を送っていることによって見逃してしまっていた小さな幸せが、身の回りにはたくさんあることに気づき、前向きな気持ちになれるだろう。

誰かのために頑張ることはもちろん大切だ。しかしその一方で自分を置き去りにしてしまうと、その優しさは長続きしないだろう。本作は、「自分のためにも何かしてあげよう」ということを教えてくれる。疲れた日や、心に余裕がなくなってしまった日にこそ、開いてほしい作品だ。

文=おおぞら木馬

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